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莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

中国で実感した、忍び寄る景気減速と格差の現実

莫 邦富 [作家・ジャーナリスト]
【第244回】 2015年2月12日
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20億円の超高級マンションと
2人で600円の食堂が隣り合う現実

 中国出張から戻ってきた。今年に入ってから最初の中国出張なので、その点描をご報告したい。

 ご存じのように、中国人の多くは餃子が好きだ。しかし、上海では水餃子よりも焼き餃子が好まれる。「鍋貼(クオ ティ)」と呼ばれる上海の焼き餃子は日本のそれより皮が厚く、餡の肉汁もたっぷりある。その鍋貼に牛肉春雨スープというのは小さい頃の私にとっては贅沢な外食だった。

 去年の年末頃、上海に出張していたときから、どうしたわけか、この鍋貼と牛肉春雨スープに抑えきれないほどの郷愁を覚え、食べたいと思っていた。今回はたまたまメディアのインタビューを受けたあと、すこし時間が作れたので、日本帰りの上海の友人と一緒にそれに挑戦した。

膨張を続けてきた上海にも景気減速の影

 上海の高級住宅地にある鍋貼専門店に入り、念願の鍋貼と牛肉春雨スープを注文した。味はもちろん、見事に裏切られた。郷愁はやはり記憶に温存すべきものだと改めて認識した。2人で31元(約600円)の夕食を済ませたあと、鍋貼専門店を出た。「民工(出稼ぎ労働者)なみの支出だった」と思わず感想を述べた。

 この店の隣は不動産仲介会社の店舗だ。大きな窓ガラスに物件の案内がたくさん貼られている。それにふっと目をやると、日本円に換算すれば1億円以下のものは見当たらなかった。一番高いのは9800万元(20億円近く)で売り出した中古マンションだ。

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莫邦富(モー・バンフ) [作家・ジャーナリスト]

1953年、上海市生まれ。85年に来日。『蛇頭』、『「中国全省を読む」事典』、翻訳書『ノーと言える中国』がベストセラーに。そのほかにも『日中はなぜわかり合えないのか』、『これは私が愛した日本なのか』、『新華僑』、『鯛と羊』など著書多数。


莫邦富の中国ビジネスおどろき新発見

地方都市の勃興、ものづくりの精度向上、環境や社会貢献への関心の高まり…中国は今大きく変わりつつある。先入観を引きずったままだと、日本企業はどんどん中国市場から脱落しかねない。色眼鏡を外し、中国ビジネスの変化に改めて目を凝らす必要がある。道案内人は日中を行き来する中国人作家・ジャーナリストの莫邦富氏。日本ではあまり報道されない「今は小さくとも大きな潮流となりうる」新発見を毎週お届けしよう。

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