人生の折り返し地点
あなたは開き直っているか、焦っているか

40代、自分がリストラ対象かどうか見極める方法あなたは今、人生に焦っている?それとも開き直っている? Photo:promolink-Fotolia.com

 私はよく「9の焦り、0の開き直り」という言葉を使う。9とは19歳、29歳、39歳、49歳のことだ。0は当然、20歳、30歳、40歳、50歳を指す。

 私の場合、野村総合研究所の研究員であった20代から30代前半までは、プレイヤーとして順調に気持ちよく仕事をしていた。ヘッドハンティングからの誘いも少なくなかった。ところが、そんな誘いに見向きをせずに働いていたら、気がつけば30代半ばすぎに、そうした誘いはぴったりとなくなり、焦りを感じた。

 後から思えば当たり前のことで、ヘッドハンティングとは言っても、それまではプレイヤー、つまりは一兵卒としての勧誘だった。30代も半ばをすぎれば、特に外資系ではもはやプレイヤーとしての魅力はなくなる。

 次にニーズがあるのはマネジャーだが、それは40代になってある程度マネジメント経験を積んでからのことだ。だから、30代後半はそうした意味での端境期なのだ。

 しかし、当時はそうは考えられず、自分の市場価値が減じてしまったと大変な焦りを感じた。焦りに任せて無謀な起業に挑戦するなど、ドタバタと動いて失敗もした。そこでもし転職をしていたら、きっとそれも失敗に終わっていただろう。

 そんなドタバタを経験した後、40歳を迎え、いわば開き直った。まるで憑きものが落ちたように、「仕方ないな。別に自分はそれほどの逸材なわけではない。普通に努力をしている当たり前の人間なのだ」と気づいたのだ。

 そんな気づきの時期が人生に何度かやってくる。それが区切りの0歳の時であることが多い。この開き直りがないと、人生立ち行かなくなる。しかし、その時の開き直り方が実は重要だと思う。じっくりと自分の実力、そして本当に何がしたいのか、どうなりたいのかということの、つまりは自分のWillとCanの棚卸をしないといけない。

 それもせずに、ただ漫然と過ごしてしまっては、次の焦りが近づくのはすぐだ。そして、だんだんといい開き直りができなくなってしまう。

 私の場合はテレビに出たい、そして大学で教えてみたいと思った。開き直っているから恥も外聞もなくその夢を口に出して回って、そのチャンスを得た。その背景には会社の中での限界を感じたということがあった。

 以前はプレイヤーで勝ち残れば、その先があると思っていた。しかし、ある段階から、別の能力も求められるようになる。その能力、端的に言えば、マネジメント力は自分には欠けていると思った。長けてない能力で戦うのは、利き腕でないほうの手だけでボクシングをするようなものだ。それでは負ける。負けてもしがみつくのだけは嫌だった。