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田中均の「世界を見る眼」

決裂すれば世界の危機に イラン核交渉の行方

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第42回】 2015年3月18日
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3月末に迫る枠組み合意期限
中東への「核のドミノ」の脅威

 イランによる秘密裏の核活動が発覚して12年。イランの核問題交渉は大きな山場を迎えている。交渉は国連安保理の常任理事国5ヵ国にドイツを加えたP5+1とイランの間で行われており、「枠組み」についての合意期限が3月末に迫っている。

 これから2週間内に枠組み合意がなされなければ、最終合意期限として設定されている6月末に至る3ヵ月間、世界は固唾を呑んで成り行きを見守ることとなる。

 日本ではさほどの危機意識を持って見られていないが、それは間違いである。イラン核交渉の決裂の甚大な影響は日本にも及ばざるを得ない。世界にとってここ数年で最大と言っても過言ではない危機を迎えることとなるからである。その四つの理由を考えてみたい。

 第一に、核のドミノの脅威である。

 イラン核問題交渉が妥結するのは容易ではない。イランは一貫して核平和利用の権利を前面に掲げ、核兵器保有を意図するものでないことを主張してきている。他方、イランが核開発の監視機関であるIAEA(国際原子力機関)に隠れて18年間軍事施設で核開発に関連した活動を行ってきたことが2002年8月に反体制派の告発で明らかとなったこともあり、国際社会はイランの核平和利用の意図を信じていない。

 ただ、イランが主張する通り、核の平和利用は核拡散防止条約(NPT)で認められた権利であり、すべての核施設を除去するということにはならない。従って合意があるとすれば、ウラン濃縮に必要な遠心分離機の数を制限し、軍事転用の道を遅らせ、平和利用を厳重に監視することでしかなかろう。

 他方、そもそもイランとの合意に猜疑心を持つイスラエルのネタニヤフ首相は、今回で合意した場合は核武装が可能になるのを1年遅らせる効果しかない、また10年たてば核活動に課せられた制約が全て解除されるとして、オバマ政権の交渉態度を批判する。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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