現在44の国と地域がAIIBに参加

 中国の通貨や国際金融政策については、筆者は以前より重要視しており、この連載でも第5回「人民元が存在感を増しています。中国の通貨政策について教えてください」第6回「人民元の基軸通貨化を進める中国の狙いを教えてください」で最近の動向とその考え方について解説してきました。

 現在持っている情報ですと、AIIBへの参加国および地域は、表にまとめましたように44にも上ります。

 AIIBの基本的な構造については連載第6回の解説をご参照ください。その時(3月11日)の参加国は26ヵ国でしたが、その後18ヵ国も増えたことになります。当初は、中国と親密な諸国が参加申請しているにすぎませんでした。

G7の先陣を切ったイギリスの事情と
中国のしたたかな戦略

 ところが、参加申請する国が急速に拡大したことで、世界の注目を集めました。特に親しいとは言えない中東が入ってきたこと、そしてなんといっても、西側諸国として初めて、イギリスが3月12日に参加申請し、その後17日にドイツ・フランス・イタリアが参加申請したこと、これは事前に連絡がなかったこともあって、日米両政府に大きな衝撃を与えました。そもそも、第ニ次世界大戦後は戦後の国際金融に限らず、国際政治の秩序さえもG7(日米英加独仏伊)が一枚岩になることで、さまざまな問題に対応し、維持してきたのです。こうしたなか、英独仏伊がG7を分けるような形で、AIIBに参加したことは大きな意味がありそうです。

前回も書いたように、中国政府は、政策に限らず、他国のあらゆる戦略・歴史を勉強しています。今回のイギリスの参加申請(宣言)は、かなり戦略的だと考えられます。イギリスと日本はある意味、立場が似ているとも言えます。どちらも米国と非常に親しく、イギリスはEU(欧州)と米国と、日本はアジアと米国と、両方をみている点です。