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宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

中国のAIIB(アジアインフラ投資銀行)は
米国による国際金融秩序を変えるのでしょうか?

宿輪純一 [経済学博士・エコノミスト]
【第8回】 2015年4月1日
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現在44の国と地域がAIIBに参加

 中国の通貨や国際金融政策については、筆者は以前より重要視しており、この連載でも第5回「人民元が存在感を増しています。中国の通貨政策について教えてください」第6回「人民元の基軸通貨化を進める中国の狙いを教えてください」で最近の動向とその考え方について解説してきました。

 現在持っている情報ですと、AIIBへの参加国および地域は、表にまとめましたように44にも上ります。

 AIIBの基本的な構造については連載第6回の解説をご参照ください。その時(3月11日)の参加国は26ヵ国でしたが、その後18ヵ国も増えたことになります。当初は、中国と親密な諸国が参加申請しているにすぎませんでした。

G7の先陣を切ったイギリスの事情と
中国のしたたかな戦略

 ところが、参加申請する国が急速に拡大したことで、世界の注目を集めました。特に親しいとは言えない中東が入ってきたこと、そしてなんといっても、西側諸国として初めて、イギリスが3月12日に参加申請し、その後17日にドイツ・フランス・イタリアが参加申請したこと、これは事前に連絡がなかったこともあって、日米両政府に大きな衝撃を与えました。そもそも、第ニ次世界大戦後は戦後の国際金融に限らず、国際政治の秩序さえもG7(日米英加独仏伊)が一枚岩になることで、さまざまな問題に対応し、維持してきたのです。こうしたなか、英独仏伊がG7を分けるような形で、AIIBに参加したことは大きな意味がありそうです。

前回も書いたように、中国政府は、政策に限らず、他国のあらゆる戦略・歴史を勉強しています。今回のイギリスの参加申請(宣言)は、かなり戦略的だと考えられます。イギリスと日本はある意味、立場が似ているとも言えます。どちらも米国と非常に親しく、イギリスはEU(欧州)と米国と、日本はアジアと米国と、両方をみている点です。

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宿輪純一[経済学博士・エコノミスト]

しゅくわ・じゅんいち
 博士(経済学)・エコノミスト。帝京大学経済学部経済学科教授。慶應義塾大学経済学部非常勤講師(国際金融論)も兼務。1963年、東京生まれ。麻布高校・慶應義塾大学経済学部卒業後、87年富士銀行(新橋支店)に入行。国際資金為替部、海外勤務等。98年三和銀行に移籍。企画部等勤務。2002年合併でUFJ銀行・UFJホールディングス。経営企画部、国際企画部等勤務、06年合併で三菱東京UFJ銀行。企画部経済調査室等勤務、15年3月退職。4月より現職。兼務で03年から東京大学大学院、早稲田大学、清華大学大学院(北京)等で教鞭。財務省・金融庁・経済産業省・外務省等の経済・金融関係委員会にも参加。06年よりボランティアによる公開講義「宿輪ゼミ」を主催し、4月で10周年、開催は200回を超え、会員は“1万人”を超えた。映画評論家としても活躍中。主な著書には、日本経済新聞社から(新刊)『通貨経済学入門(第2版)』〈15年2月刊〉、『アジア金融システムの経済学』など、東洋経済新報社から『決済インフラ入門』〈15年12月刊〉、『金融が支える日本経済』(共著)〈15年6月刊〉、『円安vs.円高―どちらの道を選択すべきか(第2版)』(共著)、『ローマの休日とユーロの謎―シネマ経済学入門』、『決済システムのすべて(第3版)』(共著)、『証券決済システムのすべて(第2版)』(共著)など がある。
Facebook宿輪ゼミ:https://www.facebook.com/groups/shukuwaseminar/
公式サイト:http://www.shukuwa.jp/    
連絡先: info@shukuwa.jp

 


宿輪ゼミLIVE 経済・金融の「どうして」を博士がとことん解説

「円安は日本にとってよいことなんでしょうか?」「日本の財政再建はどうして進まないのでしょうか」。社会人から学生、主婦まで1万人以上のメンバーを持つ「宿輪ゼミ」では、経済・金融の素朴な質問に。宿輪純一先生が、やさしく、ていねいに、その本質を事例をまじえながら講義しています。この連載は、宿輪ゼミのエッセンスを再現し、世界経済の動きや日本経済の課題に関わる一番ホットなトピックをわかりやすく解説します。

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