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かわいいピンクのタクシーは何を運んだ?

消費者に共感のストーリーが育つ構造を考える

藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]
【第77回】 2015年4月27日
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広告によらず新しい
メイク落としの価値を

 以前にも増して、クライアントから「テレビCMを打っても店頭での反響が薄い」「ウェブ広告も反応が弱まっている」という話を聞くようになりました。実際、消費者のいわゆる「アド・アボイダンス(広告を避けようとする傾向)」は、年々強まってきているといわれています。

 情報流通量が爆発的に増え続ける時代、わざわざ企業の宣伝にまで付き合っていられない、ということでしょうか。“広告っぽいもの”があからさまに避けられる昨今の状況を踏まえ、企業はブランドメッセージの届け方に大幅な変更を強いられています。

 これまでは、「広告クリエイティブが、いかにメッセージを届けるか」という視点が重視されたのに対し、今では「コンテンツ自体に魅力があること」が最重要とされ、「ブランドが持つ“世界観”をいかに消費者に“体感”してもらうか」に重心が置かれるようになりました。

 体感を広く伝えるには、テレビ、新聞、雑誌、ウェブ……などのメディアが持つ、広告枠といった一定のフォーマットに拘束される表現では物足りないケースが多く、バーチャル、リアルを問わず多彩なタッチポイントを設けて消費者に商品やサービスを試してもらう、もしくは、ブランドメッセージに具体的に触れてもらう仕組みづくりが必要です。

 そして、多くの人がソーシャルメディアなどで自身の体感を拡散することで、個々の体感がストックされていく。こうして、広告のフォーマットによらないブランド認知のプロセスが描かれていきます。

 実際に、この手法でブランディングを行った事例をご紹介しましょう。

 昨年、私たちは化粧品メーカーのマンダムから、同社の女性用メイク落としのブランディングプロモーションの依頼を受けました。発売から3年経っていますが売れ行きは堅調、にもかかわらず、同社はさらに、メイク落としの新しい利用シーンを提案し、既成概念を破る新しい商品価値を打ち立てることをミッションに掲げていました。

 文字通り、「メイク落とし」は、化粧をして外出し、帰宅した後に化粧を落として素の自分に戻るために使うアイテムです。ただし、同社のメイク落としは水で洗い流す必要がなく、ふき取るだけで簡単にメイクを落とすことができる点に、他社と比べた場合の強みがあります。

 この特徴を理解した上で、私たちは次のような仮説を立て、市場調査に臨みました。

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藤田康人 [インテグレート代表取締役CEO]

慶應義塾大学を卒業後、味の素株式会社を経て、92年、フィンランド人の社長と二人でザイロフィン ファーイースト社(現ダニスコジャパン)を設立。素材メーカーの立場から キシリトール・ブームを仕掛け、キシリトール製品市場はゼロから2000億円規模へと成長。07年、株式会社インテグレートを設立し、代表取締役CEOに就任。著書に『どう伝わったら、買いたくなるか』『99.9%成功するしかけ』 『漂流する広告・メディア』講演活動も行っている。integrateGroupウェブサイト:http://www.itgr.co.jp/

 


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インターネットなど双方向メディアの普及に伴い、従来の広告メッセージが届きにくい時代になったと言われます。どんな方法なら消費者とのコミュニケーションが成立するのか。「次世代IMC」を掲げる注目のマーケティング企業CEOがその極意を伝授します。

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