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石川和男の霞が関政策総研

原発賛成派と反対派が理解し合う方法はないのか

英国の病理学専門家が日本の原子力政策を斬る(上)

石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]
【第46回】 2015年6月1日
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チェルノブイリ事故研究の
専門家から見た日本の原子力政策

チェルノブイリ事故の研究で、専門家が得たものとは。写真はチェルノブイリ発電所4号炉を覆う「石棺」

 5月19日、「国際原子力シンポジウム」が東京で開催された。主催は日本エネルギー経済研究所や東アジア・アセアン経済研究センターなどで、国内外の女性有識者17人が登壇。「女性が語る原子力─なぜ必要か、なぜ安全か、なぜ他にないのか」をテーマとして議論が交わされたようだ。

 私はこのシンポジウムを直接聴講することはできなかったが、後日、登壇者の方々と個別に懇談させていただいた。その中の一人が、英国の分子病理学専攻の著名な研究者で、同国インペリアルカレッジ・ロンドンのジェリー・トーマス教授である。

 トーマス教授は、これまで長きにわたって、1986年4月に起こった旧ソビエト連邦(現ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所事故の国際学術共同研究に従事。2011年3月の東日本大震災による福島第一原子力発電所事故の後は、英国における放射線リスクコミュニュケーションや、チェルノブイリ事故の教訓をもとにした放射線と甲状腺がんについての啓発活動を行っている。

 5月20日、私はトーマス教授と懇談する機会を得て、福島事故後における日本の原子力政策についての御意見を伺った(以下、質問は筆者)。

──福島事故により、日本では、事故を起こした福島第一原子力発電所だけでなく、国内の全ての原子力発電所が停止したままだが、この状況をどう見るか?

 福島事故後、原子力への不安が蔓延したのは日本だけではなく、ドイツでも同じだった。もっとも、全ての原子力発電を停止し、化石燃料を輸入しながら火力発電で何とか維持しているというのは、他の国ではとてもできないことだ。日本はそれを実行している。

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石川和男 [NPO法人 社会保障経済研究所代表]

1989年3月東京大学工学部卒業。同年4月通商産業省(現経済産業省)入省。資源エネルギー庁、生活産業局、環境立地局、産業政策局、中小企業庁、商務情報政策局、大臣官房等を歴任。2007年3月経済産業省退官。08年4月東京女子医科大学特任教授(~10年3月)。09年1月政策研究大学院大学客員教授。09年4月東京財団上席研究員。11年9月NPO法人社会保障経済研究所代表。ツイッター:@kazuo_ishikawa ニコ生公式チャンネル『霞が関政策総研』、ブログ『霞が関政策総研ブログ』


石川和男の霞が関政策総研

経済産業省の元官僚として政策立案の現場に実際に関わってきた経験と知識を基に、社会保障、エネルギー、公的金融、行政改革、リテール金融など、日本が抱えるさまざまな政策課題について、独自の視点で提言を行なっていく。

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