片桐 なるほど。それで、哲人と青年というキャラクターを設定したんですね。ぼく今日、自分の『嫌われる勇気』を持ってきたんです。(カバンから本を取り出す)

古賀 おお、たくさんページが折ってある!

「みんなが自分をバカにしている」<br />という勘違い片桐さんがカバンから取り出した『嫌われる勇気』は折り目だらけ!

片桐 重要だと思ったところを折りながら読んでいたら、重要なところがありすぎて折りまくっちゃいました(笑)。えーと、この行動面の目標としての「自立すること」と「社会と調和して暮らせること」、そして心理面の目標である「わたしには能力がある、という意識」と「人々はわたしの仲間である、という意識」。これは、心に留めておくと世界をポジティブに捉えられていいですよね。

岸見 大事なポイントですね。

片桐 「劣等感」と「劣等コンプレックス」の違いも、「そうかー!」と思いました。ぼくが持ってたのは、劣等感をある種の言い訳に使い始めた状態の「劣等コンプレックス」だったんですね。こういう、言語化するのが難しいことを、的確に言葉にされていてすごいなあ、と思いました。

古賀 人と比べるから、不健全な劣等感を抱くようになる。そうすると、劣等感を言い訳に「学歴が低いから、出世できない」というような嘘をついてしまうんですよね。

片桐 だから、他者との比較ではなくて「理想の自分」と「いまの自分」を比較する、健全な劣等感を持つのはいい、と。いやあ、因果律を否定するってすごい発想の転換ですよね。「人生最大の嘘は『いま、ここ』を生きないこと」や「『変えられるもの』と『変えられないもの』を見極めて、変えられないものについては「肯定的なあきらめ」をする」というのもいい考え方だと思いました。