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保田隆明 大学院発! 経済・金融ニュースの読み方

民主党政権が検討する公開会社法の意味

保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]
【第31回】 2009年8月7日
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 選挙月間になり、各党のマニフェストに対する議論が盛んである。しかし、社会保障、医療、年金などに関するものが多く、経済成長や企業改革に関するものは少ない。経済を中長期的に浮揚させることなくしては、社会保障も医療も年金もおぼつかないので、個人的にはもう少し経済政策が議論されてしかるべきだと思うが、今の世の中の状況ではまずは目先の不安に対処する方が票につながるのであろう。

ガバナンス強化を目的とする民主党の公開会社法

 そんな状況ではあるが、民主党が検討中の公開会社法は注目に値する。マニフェストには盛り込まれなかったが、上場企業に対するガバナンスを強化するために、社外取締役の義務化や従業員代表を監査役会に送り込むなどが検討されている様子である。最終的にマニフェストに入れなかったのは、経団連の反対を恐れてのことであろう。

 公開会社法をマニフェストに入れたところで、それで直接的に票につながるわけではない。そういうものは政権を取ってから大いに議論しよう、という作戦だと思われる。社外取締役の義務化に関しては金融審議会でも議論されてきたことであり、その論点自体は驚かないが、こういう問題を野党の立場で検討してきていたというのは興味深い。

アレルギーが強い社外取締役導入の議論

 コーポレートガバナンスが重要だという議論に反対する人は少ない中、いざ、ガバナンス強化策として真っ先に思いつくのは社外取締役の導入である。しかし、キヤノンなど日本のメジャー企業でも社外取締役を導入していない企業も多く存在し、導入をしているのは上場企業の約半分である。

 導入をしている企業でも、その社外取締役の経歴をキチンと確認するとその企業と何らかの関係があった人物(たとえば親会社の元社員など)であるケースも多く、純粋な社外取締役を導入している企業は日本ではまだマイナーである。

 導入をしない理由は様々あるであろうが、理論的な理由の前にそもそもアレルギー反応を起こしているように見受けられるケースが多々あり、社外取締役の効果に関しての神学論争が繰り広げられている。アカデミズムの世界でも、社外取締役が株価にどういう影響を与えるかなどの分析が行われているが、統一した見解はまだないのが実際のところである。

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保田隆明 [神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師]

1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科准教授、昭和女子大学非常勤講師。リーマン・ブラザーズ証券(東京/ニューヨーク)、UBS証券東京支店で投資銀行業務に携わる。その後、起業、投資ファンド運用等を経て、10年より小樽商科大学大学院准教授、14年より昭和女子大学准教授、2015年9月より現職。雑誌、テレビや講演で金融・経済をわかりやすく解説する。著書は「あわせて学ぶ会計&ファイナンス入門講座」「実況LIVE 企業ファイナンス入門講座」(ともにダイヤモンド社)ほか多数。早大院商学研究科博士後期課程満期退学。
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仕事と両立しながら大学院に通い始めた保田隆明が、大学院で学ぶからこそ見えてきた新しい視点で、世の中の「経済・金融ニュース」をわかりやすく解説する。

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