JTBとHIS、有給消化率2倍の差から見える実態老舗のJTBとベンチャー気質のHISの社員満足度の違いは?

 実際に働いてみなければわからない大手人気企業のリアルな姿を、「Vorkers(ヴォーカーズ)」に寄せられた社員・元社員のクチコミからリサーチ。社員満足度と経営者への提言からみる会社の実態をご紹介します。

 4回目は旅行業界。長年トップを走り続け、就職人気ランキングでも常に上位にランクインするJTBと、旅行業界に「格安」旋風を巻き起こし、設立30年を越えて今もなおベンチャー気質が感じられるHISを取り上げます。

 今月9日、政府から発表された観光白書によると、日本を訪れる外国人の旅行者数、旅行消費額はともに過去最高を記録。両社とも直近の業績は昨年を上回り、円高の影響もそこそこに、旅行業界では好景気が続いているようです。とはいえ、オンライン旅行会社が2ケタ増の成長を遂げ新たな競争も激しくなる中、それぞれの会社の社員たちは何を感じて働いているのでしょうか。

 長い歴史を誇り、旅行業界のリーディングカンパニーであるJTBとベンチャー企業として始まり、旅行業界のみならず幅広い事業を手がけるほどに成長をしているHIS、総合旅行会社大手2社のリアルな評価をクチコミから見ていきます。

※2007年7月〜2015年6月にVorkersに投稿されたJTBHISへのレポート回答1223件(回答者数:169人)を分析

 各企業のクチコミの詳細はこちら→JTBHIS

「人事評価の適正感」「人材の長期育成」で
評価が分かれた2社

 まず、Vorkersによる社員満足度を測る8項目の数値評価からみていきます。この評価項目を総合して見ることで、両社の特徴が浮かび上がります。

 チャート図をみると、拮抗している様子の両社。違いが最も表れたのは「人材の長期育成」、次いで「人事評価の適正感」です。「人材の長期育成」ではJTBに、「人事評価の適正感」ではHISに軍配が上がりました。設立100年以上の歴史を誇るJTBは、日本の高度成長期を支えた終身雇用制を築いた会社の一つともいえ、今も長期で働ける環境が整っているようです。

 また、両社ともに、社員・元社員から一番評価の高い項目は「20代成長環境」でした。就職活動中の学生が選ぶ人気企業ランキングで、4位につけたJTBと11位となったHIS。

 ともに「20代成長環境」で高い評価を得ていますが、クチコミをみると、「旅行業界でトップということもあり、非常に良い条件の下で働けると思う」「コンプライアンスや企業倫理はしっかりしている」と、比較的安定した働きのできるJTBと、「営業成績が全ての実力主義」「熱意があればどんどん自分のしたいことをさせてくれる」といったように、成長できる環境下でスピードをもって働けるHISといった構図が見えてきます。

 続いて「有給休暇消化率」と「月間平均残業時間」についてです。HISの「月間平均残業時間」が58時間に対し、JTBは6時間少ない52時間と、あまり大きな違いは見られません。一方で、「有給休暇消化率」はHISが28.1%であるのに対し、JTBは約2倍の56.4%でした。そのあたりにも、長期の人材育成に繋がる要因があるのかもしれません。

JTBとHIS、有給消化率2倍の差から見える実態