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田中均の「世界を見る眼」

朝鮮半島の緊張、ロシアの圧力──
悪化する東アジア情勢にどう対応すべきか

田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]
【第47回】 2015年8月26日
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南北の緊張、北方領土問題、抗日戦勝記念行事…
日本に深刻な影響を与える問題続出

北朝鮮と韓国の高官協議は合意に至ったが…。写真は板門店

 日本を取り巻く国際情勢がここに来て急激に悪化している。南北朝鮮の間は砲弾が飛び交った。ようやく8月22日から始まった板門店の高官協議は合意を見たが、北朝鮮は70%の潜水艦を出航させ、南北境界線の砲兵戦力を増加させるなど一触即発の危機を作り出した。

 ロシアのメドベージェフ首相は同じく22日に択捉島をこれ見よがしに訪問し、北方領土問題で強硬な姿勢を示した。そして中国は9月3日の抗日戦争勝利70周年記念日に向けて大々的な軍事パレードの準備に余念がない一方で、経済の停滞感が世界経済に相当な影響を与えだしている。

 これらはいずれも日本に深刻な影響を与える問題である。どう情勢を読むべきか。そして日本の戦略の基本はどうあるべきか。

 まず、南北朝鮮をめぐる緊張が衝突に繋がることが危惧された。8月4日に北朝鮮の敷設した地雷に触れた2人の韓国兵士が負傷したことに端を発し、韓国が11年ぶりに再開した北朝鮮向け反体制宣伝放送の中止をめぐって、南北間で砲弾が行き交った。

 この段階においては双方の軍事的行動は相当に抑制されており、直ちに大規模衝突に至ることが想定されていたわけではない。北朝鮮は韓国側の拡声機を破壊しようと思えばできたものをあえて的をはずして警告射撃をしたと見られるし、韓国側の反撃も人的物的被害を与えようとしたものではなかった。

 ただ状況はエスカレートし進んでいく。北朝鮮は「準戦時状態」といわれる戦争準備体制へと移行し、板門店で行われている高官協議の結果如何では本格的な南北衝突に至る危険を秘めた状況となった。

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田中 均 [日本総合研究所国際戦略研究所理事長]

1947年生まれ。京都府出身。京都大学法学部卒業。株式会社日本総合研究所国際戦略研究所理事長、公益財団法人日本国際交流センターシニアフェロー、東京大学公共政策大学院客員教授。1969年外務省入省。北米局北米第一課首席事務官、北米局北米第二課長、アジア局北東アジア課長、北米局審議官、経済局長、アジア大洋州局長、外務審議官(政策担当)などを歴任。小泉政権では2002年に首相訪朝を実現させる。外交・安全保障、政治、経済に広く精通し、政策通の論客として知られる。

 


田中均の「世界を見る眼」

西側先進国の衰退や新興国の台頭など、従来とは異なるフェーズに入った世界情勢。とりわけ中国が発言力を増すアジアにおいて、日本は新たな外交・安全保障の枠組み作りを迫られている。自民党政権で、長らく北米やアジア・太平洋地域との外交に携わり、「外務省きっての政策通」として知られた田中 均・日本総研国際戦略研究所理事長が、来るべき国際社会のあり方と日本が進むべき道について提言する。

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