上司を「さん付け」すると怒りを買う職場の閉塞感あなたの会社では上司をどう呼んでいますか?

 経営再建中のシャープが行う企業風土を変えるための取り組み、「さん付け運動」が以前、話題になりました。経営トップの判断に「ノー」と言えない雰囲気が、経営危機を招いた液晶事業への巨額投資につながったと反省し、高橋興三社長自らが旗振り役をしているとのこと。

 さて、皆さんは職場で上司をどのように呼んでいますか。もしシャープのように、これまでのしきたりを覆すような呼び方を急に求められたらどうしますか?しかも、その職場が複雑な肩書きを伴うヒエラルキーによって支えられていたとすれば、事態はさらにややこしいものになります。フランクな関係を築くための一環かもしれませんが、反対に部下たちを混乱させることが少なくないようです。

 そこで今回は、職場で使われている呼称として、何がふさわしいのかを考えてみたいと思います。

部長も社長も「さん付け」に
1980年代後半に起きた呼称の変化

 シャープの「さん付け運動」のきっかけとなったのが、「かえる運動」という風土改革。旗振り役の高橋社長は「けったいな文化を変える」と繰り返します。マスコミからの取材で社長と呼ばれると、「高橋さんと呼んでください」と返答するほど本気度は高いようです。

 しかし、ある会社の部長は、「若手社員にさん付けで呼ばれると、最初は『この野郎』と思った」そう。最近は慣れたそうですが、抵抗感は少なからずあったことでしょう。ちなみにこの変化は、若い人ほど抵抗なく受け入れているようです。ところで、みなさんは職場での呼び名を意識したことはありますか?

「何気なく上司を肩書きで呼んでいますが、だからといって堅苦しいとは思わないよ」

 など、あまり気にしていない人が大半でしょう。

 ただ、職場には職場ごとの呼び名=呼称があります。例えば、当方が長く勤務していたリクルート社では役員だろうが課長だろうが、上司はすべて「さん」で呼びます。この呼び方が上司との距離を近づけ、一体感のある職場づくり(風土)に大いに貢献していた気がします。