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校條浩 IoT産業革命
【第7回】 2015年9月11日
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校條 浩 [ネットサービス・ベンチャーズ マネージング・パートナー]

IoTのベンチャー・スキャン

 日本からIoTの新しい事業を起こす機運がようやく高まってきたが、多くの企業では新たなIoTビジネスモデルの創造に苦労しているようだ。

 IoTは、インターネット、ソフトウェアやサービスの発想からモノを巻き込んでいく。一方、ハードウェア系の企業はまずはモノにセンサーや通信チップを埋めることから発想してしまい、そこで思考が止まってしまうようだ。

第4の経営資源である「モノ」

 経営資源は人・モノ・カネ・情報の4つだとよく言われる。インターネットにより産業革新が進んだ歴史を見ると興味深い。インターネットによりまず「情報」が格段に有効に使われるようになり、ヤフーやグーグルが誕生した。次に、カネや商業がインターネットで扱われるようになり、イーベイやアマゾンが出た。

 さらに、携帯・スマホの普及とそのインターネット化により「人」がネット上に集うようになり、フェースブックのようなソーシャルネットワークが爆発的に膨らんだ。

 そして、これからのIoT時代ではそこに「モノ」が加わる。ここで理解すべきなのは、情報・カネ・人にモノが加わるのであって、モノからの発想ではない、ということである。

Fitbitを歩数計の会社と考えると
900億円の資金調達は理解できない

 だから、IoTのベンチャー企業の創業者はネット系分野の出身の人が多い。最近のIoT分野での成功例の話題は何と言ってもFitbitだろう。株式公開で7億4000万ドル(約900億円)を資金調達した。

 Fitbitが「歩数計」の会社と考えたら、この成功の理由は理解し難い。Fitbitの歩数計はあくまで情報の入り口であり、ユーザーの健康バロメーターを使って「24時間フィットネス管理サービス」という価値提供が事業の根幹だと考えるとこの会社が全く違う会社に見える。だから、歩数計そのものには当初いろいろ問題があったが、それを乗り越えて現在の市場地位を築いた。創業者のジェームズ・パークの前職は、ネット分野のトップメディアであるCNETであったのは偶然ではない。

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校條 浩(めんじょう・ひろし)[ネットサービス・ベンチャーズ マネージング・パートナー]

東京大学理学部卒、同修士課程修了。マサチューセッツ工科大学(MIT)工学修士。小西六写真工業(現コニカミノルタ)にて写真フィルムの開発に従事。その後MITマイクロシステムズ研究所、ボストン・コンサルティング・グループを経て、1991年にシリコンバレーに渡る。1994年よりマッケンナ・グループのパートナーに就任。2002年に「ネットサービス・ベンチャーズ」を創業し、シリコンバレーでのベンチャー投資・インキュベーションと日本企業への事業コンサルティングを進める。2012年より大阪市特別参与、2013年~14年に同特別顧問。シリコンバレーから大阪に出向く異色のアドバイザーとして活動。関西初の独立系グローバルベンチャーキャピタル「ハックベンチャーズ」を設立。スタンフォード大学STAJE顧問、Japan Society US-Japan Innovation Award委員会理事、Silicon Valley Japanese Entrepreneurs Networkボードメンバー。主な共著書に『ITの正体』『シリコンバレーの秘密』(インプレス)、『日本的経営を忘れた日本企業へ』『成長を創造する経営』、訳書に『リアルタイム』『スマート・カンパニー』(いずれもダイヤモンド社)など。日経産業新聞においてコラム「新風シリコンバレー」を連載中。


校條浩 IoT産業革命

今までの20年は、ソフトウェア、ネットワーク、インターネットを中心に新産業を創出したアメリカが一人勝ちであった。これからの20年は、IoTが新産業創出のキーワードとなる。本連載では、IoT という新たなイノベーションの潮流と、それによりもたらせる産業革命について、シリコンバレーの現場から報告する。

「校條浩 IoT産業革命」

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