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組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

上客のふりをしてノウハウを盗む「パクリ文化」の会社

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第27回】 2015年9月14日
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「まとまった仕事の発注」を伴った
“協業”という名のパクリ

おいしい商談こそ危険!?あなたの会社は「パクリ」の餌食になっていないだろうか?

 「パクリだ」「パクリじゃない」「いや、やっぱりパクリだ」

 エンブレム問題でしばらく騒がしい日々が続いたが、白紙に戻ったことでいったんは鎮静化するだろう。しかし、「パクリ」はデザインだけに生じるものではない。ノウハウやアイデア、人脈……とすべてに関してパクられる可能性はある。そして、「パクリ」の常習のような企業もあるので、注意が必要だ。

 あるとき、友人が社長を務める中堅企業にB社という大手企業から「協業を検討したい」という申し出があった。さらに、「まとまった仕事の発注」という、ありがたい(ように思える)おまけつきである。

 しかし、結論から言えばその協業は決して手を出してはいけないものだった。B社には、何度も「パクリ」の前科があったからだ。今までその企業がどのように成長してきたか、少し歴史を紐解いただけで過去の行状は明らかになる。

 B社のやり方はこうだ。「協業」と言いながら、ミーティングを重ね、相手企業のノウハウ、アイデア、人脈などをすべて自分のものにしてしまう。NDA(秘密保持契約)は結ぶものの、ビジネスにしたときの制作物(著作物)からはすべてのパクリの痕跡を取り除く。つまりは、「パクリのプロ」なのである。

 しばらく協業の協議はするものの、「今回は断念」ということで、プロジェクトを終了する。その後、しばらくたったころに、新しい基軸で(ということになっている)同様のビジネスが立ち上がる。「やられた!」と思ってからではもう遅い。裁判をするにもお金はかかるし、「まとまった仕事の発注」がなくなるのも困る。そうして「泣き寝入り」をする企業のどれほど多いことか。もちろん、「協業」のすべてがそうだとは言わないが、わずかなうま味につられて泣きを見ることのないよう、返事をする前によく考えたほうがいい。B社のような企業には、できるだけ近づかないに限る。

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秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

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