9月中旬、都内で開かれた会合にはパナソニック、三井不動産、野村證券、ヤフー、アマゾン・ジャパン──といった名だたる企業の法務担当者らが一堂に会した。数にして計110社約130人に上る。業種も小売りや不動産、アパレル、金融など多種多様である。
多くの法務担当者が集まったのは、さまざまな業界のビジネスを激変させかねない「消費者契約法」の改正議論について、民間有志が初めて説明会を開いたからだ。
そもそもこの法律は、事業者と消費者の契約ルールを定め、悪質な事業者との契約取り消しを可能にしたものだ。その規制強化を行う改正議論が進んでおり、8月には中間取りまとめ案が出された。実務への影響は大きく、政府側も9月末までに意見を求めていた段階とあって、企業の関心が高まっている。
特に、今回の説明会で議題になったのが「広告」の取り扱いである。それまで規制対象外だった広告が契約の取り消し対象となる「勧誘」に含まれる方向で議論が進んでいるのだ(週刊ダイヤモンド8月1日号に詳報)。
そのような状況もあって、説明会ではテーマパークを運営する企業の法務担当者が語気を強めた。
「消費者にとって広告が勧誘と思うのかどうかなんて、判断基準は千差万別だ。なのに、なぜそれをわざわざ規制対象にするのか」
法務担当者の視線の先には、内閣府の消費者委員会専門調査会の事務局担当者がいた。