国内雇用の維持を狙って支配を強める仏政府に対し、ルノー日産のトップ、カルロス・ゴーン氏は強く反発している Photo by Mitsufumi Ikeda

 仏自動車大手ルノーへの支配力を強めるフランス政府に対し、日産自動車が新たな対抗策の検討に入っている。

 ルノーの経営権をめぐっては、筆頭株主である仏政府が今年4月にルノー株を買い増し、保有比率を従来の15%から19.7%に拡大。その背景にあるのが昨年、仏政府が制定した「フロランジュ法」である。

 これは、仏企業の株式を2年以上保有する長期株主の議決権を2倍にするというもの。ルノーは今年4月の株主総会でこの制度を適用しないよう提案したが、仏政府は株を買い増して否決。新たな法律の適用が決まったことで、仏政府の議決権は2016年春から約28%に一気に上がる。

 そうなればルノーが株式の43.4%を保有する日産の経営にも支配が及ぶ恐れがあるため、ルノー・日産連合はこうした動きに強く反発していた経緯がある。

 11月30日、日産は臨時取締役会を開き、新たな対抗策を検討。具体的な手段として、大きく二つを想定しているもようだ。

 一つは、ルノーが保有する日産株の比率を、40%未満に引き下げる方法だ。