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今週のキーワード 真壁昭夫

「すでに中国を凌駕した」と期待の声も!
にわかに復活するインド経済の“光と影”

真壁昭夫 [信州大学教授]
【第128回】 2010年6月8日
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 インドが主要新興国の1つであることは十分に理解しているが、我々日本人はインドに対して、あまり具体的なイメージを持っていない。そんなインド経済が、ここに来て急回復しており、注目を集めている。「中国を追い抜かんばかりの勢い」と形容する専門家もいるほどだ。

 それは本当なのか? 足許のインド経済について基本的な知識を整理してみよう。
好調なインド経済の背景を探ることは、成長著しい新興国の経済効果を重視する先進諸国にとっても、有益なことだ。

人口は日本の10倍、経済規模は5分の1
中国に肉薄する好調インドの実態

 IMFの資料によると、2009年時点のインドの人口は約12億人、GDPは約1兆2000億ドル(約110兆円)だ。わが国の人口が約1億2000万人だから、インドの人口はわが国の約10倍、経済規模は約5分の1である。

 ということは、1人当たりの所得額は、わが国などと比較してかなり低いことになる。そのため、“貧困”という言葉が、インド経済の1つのキーワードになる。また、インドの経済構造を見ると、コンピューターソフトなどの産業が盛んである一方、農業部門の割合が高いことが特徴だ。

 近年、インド経済の成長は目覚しく、現在中国と並んで、世界を代表する新興国の1つとなっている。リーマンショック以降の経済の立ち直りも早く、今年1-3月期のGDP伸び率は8.6%となり、世界経済の下支え役を果たすほどの実力を示し始めている。

 特に、最近の自動車販売台数などは、中国を凌駕する伸び率を示している。「成長の可能性で見ると、中国よりもインドの方が糊代はある」との指摘もある。

 こうした状況を反映して、2050年代には、わが国を抜いて中国、米国に次ぐ世界第3位の経済大国に成長するとの見方が有力になっている。

 そんなインドだが、まだまだ課題も多い。国民の多数を占める貧困層の問題や、遅れている社会インフラ整備などの中長期的な問題に加えて、短期的にインフレ懸念が台頭するなど、足元の経済運営に課題も抱えている。

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真壁昭夫 [信州大学教授]

1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員などを経て現職に。著書は「下流にならない生き方」「行動ファイナンスの実践」「はじめての金融工学」など多数。


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