意表を突いたマイナス金利導入
市場は“迷って”一時大混乱に
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1月29日12時半過ぎ、日本銀行がマイナス金利導入を発表した。このタイミングでこの内容の追加緩和は、間違いなくサプライズである。1月の追加緩和を予想する向きはある程度あったが、マイナス金利導入は、黒田総裁自身が従来否定的な発言をしていたこともあり、ほぼ全ての専門家・市場関係者にとっても想定外だったと言ってよい。
これに対し、市場は複雑な反応を示した。日経平均は発表直後に500円近く上昇した後、約860円急反落。その後再び上昇に転じ、終値では477円高となった。ドル円相場も同様に、1ドル119円前後から121円台前半まで一気に円安方向に振れた後、119円まで戻し、再び円安に動いて29日19時時点で約121円となっている。日銀の決定をどう受けとめるべきかという、市場の迷いが感じられる。一方、長期金利は約0.2%から一時0.09%まで急低下、過去最低を更新した後、0.1%程度での推移となった。
市場が“迷った”要因の一つは、日銀の発表した内容が少々複雑だったことである。マイナス金利は、銀行が日銀に預ける当座預金で、利息をつけず逆に手数料を課すことで、実質的に金利をマイナスにする(つまりお金を預けると目減りする)ものだが、今回、マイナス金利となるのは一部に限られた(右図参照)。
当座預金を3種類に分け、既に銀行が預け入れている分(基礎残高)は従来通り金利+0.1%、今後預け入れが増える分のうち、金融機関が預金額の増に応じ積み立てを義務づけられる分や、東日本大震災復興支援のための資金供給関連(マクロ加算残高)分は0%とされた。そして、これ上回る分(政策金利残高)についてマイナス0.1%とするものだ。