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野口悠紀雄 未曾有の経済危機を読む

サラリーマンが未納付分を尻拭い!
基礎年金拠出金負担の理不尽な仕組み

野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]
【第78回】 2010年7月10日
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 「納付率が6割程度でしかないのに、国民年金が破綻しないのはなぜか?」と前回問うた。

 その理由は、「基礎年金は全国民共通の制度なので、すべての年金制度で費用を負担する仕組みになっている」からだとされている。

 たしかに、基礎年金は全国民に共通の制度とされているので、その費用を全国民が負担すべきことは間違いない。

 しかし、問題は、「国民年金制度で生じている未納の負担を、国民年金以外の制度が負っている」というだけのことではない。真の問題は、各制度が負担をどのように分担しているかなのである。各制度への負担が不公平に配分されているということはないだろうか? それこそが問われるべきことなのである。

 そして、以下で述べるように、実際の負担はきわめて不公平な形で行なわれている。基礎年金拠出金の各年金制度への割り振りに関する現在の仕組みには、巧妙なトリックが隠されているのだ。

分担割合計算式のまやかし

 拠出金の割り振りに関して、厚生労働省の「年金財政ホームページ」は、つぎのように説明している。やや長くなるが、そのまま引用しよう。

  基礎年金給付に必要な費用は、そのときの現役みんなで公平に負担する仕組みとなっています。
 
  この基本的な仕組みをわかりやすく書くと、次のとおりです。
 
  ある年の基礎年金給付総額をX、同じ年の第1号被保険者(*1)数をY1(ただし、保険料未納数、免除者数を除く)、第2号被保険者(*2)数をY2、第3号被保険者(*3)数をY3とし、Z=X/(Y1+Y2+Y3)すると、第1号被保険者のグループ全体では、Z×Y1を拠出します(このうち3分の1(平成21[2009]年度までに2分の1へ引き上げ)は国庫負担が行われます)。
 
  第2号被保険者のグループ全体では、Z×(Y2+Y3)を拠出します(このうち3分の1(平成21[2009]年度までに2分の1へ引き上げ)は国庫負担が行われます)。
 
  基礎年金をまかなうための費用をこのように分担することにより、両グループとも、被保険者1人当たりZという同じ単価で基礎年金の費用をまかなっていることになります。
 
  第1号被保険者の保険料(現在は1人月額14,410円)、第2号被保険者の保険料(厚生年金の場合、現在は月収の14.996%)には、この基礎年金の費用負担の分が含まれています。

 この説明のトリックは、「ただし、保険料未納数、免除者数を除く」の部分にある。つまり、Y1は、第1号被保険者の総数ではなく、「実際に保険料を納付した人だけ」になっているのだ。現在の納付率は6割程度だから、Y1は、国民年金第1号被保険者の半分程度ということになる。

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野口悠紀雄 [早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問]

1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『情報の経済理論』『財政危機の構造』『バブルの経済学』『「超」整理法』『金融緩和で日本は破綻する』『虚構のアベノミクス』『期待バブル崩壊』等、最新刊に『仮想通貨革命』がある。野口悠紀雄ホームページ

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