まずは挨拶から
私は、まずは挨拶を徹底してほしいと思っています。
なぜなら、年齢を問わず、挨拶ができない大人が急増しているからです。
挨拶の重要性を説くリーダーは多いのですが、では重要性を説いている本人が実際にできているかというと、意外とできていないのが現状です。
私が研修やコンサルティングに入っている企業では、多くの場合、まず研修担当者に社内の案内をしていただきます。また、私自身、時間に余裕のあるときには、社内を歩き回るようにしています。そのとき、すれ違う人たちに必ず挨拶をするのですが、悲しくなるくらいに返事が返ってきません。これは、年齢に関係ありません。むしろ若い人たちより、私たちオヤジ世代以降の人たちのほうが反応がないことが多いかもしれません。
ビジネスマンの多くが疲弊し疲れ切ってしまっているのでしょうか。他人を気遣う余裕もなく、いっぱいいっぱいの精神状態なのでしょうか。挨拶を返す元気すらない人が多いのです。
また、トップリーダーや大企業の社員の中には、挨拶はされて当たり前、会釈すら返す必要はないと思っている人もいるようです。来社する人たちは下請け企業の社員が多いからでしょうか。殿様にでもなった気分なのでしょうか。挨拶をしても返ってこないどころか、「ふん」といった鼻で笑うような顔つきや態度を取る人さえいます。
「オレがお前らに仕事を与えてやってるんだ。お前らが挨拶をして当たり前だ」くらいのことを思っているのでしょうか。自分から挨拶をしないまでも、挨拶をされたら返すくらいはしてほしいものです。
こんな思いをしたことはないでしょうか。
例えば、車のすれ違い等で道を譲ったとき、挨拶もなく素通りされたら、「挨拶くらいしたらどうなんだ」と思うのではないでしょうか。
そのほかにも、よく知っている人に挨拶をしたのに、その人は何か考え事でもしていたのでしょうか、気づいてもらえなかったりするようなこともあります。これは、相手に悪気のないケースです。それでも挨拶が返ってこないと、やはりがっかりしてしまいます。
挨拶が返ってこないことほど、不快で悲しくて寂しくて残念なことはありません。
そして、その嫌な感情が尾を引くから不思議です。さらに、この嫌な感情が少なからずその後の行動に悪い影響を及ぼすことは、皆さんも経験を通じてご存じのことでしょう。
私は東京の下町で生まれ育ったせいか、見知らぬ人同士でも、みんなが気持ちよく快活に挨拶するものだと思い込んでいました。ところが、世の中はそうでもないようです。