2月6日、「糖質制限ダイエット」の第一人者として知られたノンフィクション作家の桐山秀樹さん(61)が心不全で急逝した。報道では、桐山氏の死と糖質制限に因果関係はないとのことだったが、実はこの糖質制限ダイエット、医学界からもリスクを唱える声が複数寄せられており、異を唱える専門家も少なくないようだ。短期間で確実に痩せられることが実証されている一方で、危険性も指摘されるこのダイエットの是非について、専門家に話を聞いた。リスクコントロールはあくまで自己責任であることを、今一度噛みしめよう。(取材・文/青柳直弥[清談社])

米国での大ブーム時に何が?
九死に一生を得た医師の告白

話題の糖質制限ダイエットには、本当にリスクがあるのか。専門家の意見を交えながら検証する

 炭水化物を摂らない代わりに、タンパク質(肉類)はどんどん食べてOK。もはや、そんな基本ルールの説明すら必要ないほど、日本人の間に浸透した「糖質制限ダイエット」。肉や魚ならどれだけ食べてもいい、というハードルの低さに加え、きちんと取り組めば短期間で結果が出るので、痩せたい人にとっては確かに実践しやすいダイエット法なのだろう。

 そもそも、この糖質制限ダイエットのルーツは、アメリカ人医師のロバート・アトキンス博士が考案した炭水化物の摂取を制限する「アトキンスダイエット」にある。炭水化物の摂取量を20~40gまで減らす代わりに、肉類はいくら食べてもいいという点が肉好きのアメリカ人に大ウケし、2002年にアメリカで大ブレイクしたダイエット法だ。

 しかし、このダイエット法で失敗し、危険な状態に陥った医師がいる。アトキンスダイエットのブレイクを当時、現地で目の当たりにし、自ら実践したという日比野佐和子氏(医療法人再生未来Rサイエンスクリニック広尾・院長)である。

「当時、私はニューヨークに留学していたのですが、その時期まさにアメリカでアトキンスダイエットのブームが起こっていました。もともと、私自身もダイエットマニア的なところがあったので、『面白いな』と飛びついたんです。33歳のときですね。

 糖質制限を始めてからは、朝昼晩と炭水化物を一切摂らないことを徹底していたのですが、夜は毎日のように焼肉をがっつり。食べるのは肉と、サンチュとキムチのみ。そんな生活をしていたら、あっという間に15キロ痩せたんです」