>>(上)より続く

「ヒラリーはバランスの取れた政策を打ち出せる大統領になると私は信じているし、それを説明すると、大抵相手は黙ってしまうけど」

 彼が危惧しているのは、トランプ支持を公言する層ではない。外では口には出さないが、実はトランプに投票するという、いわば、サイレントマジョリティのトランプ支持者だ。

「その多くが、年配の白人女性、つまり私の母やその友だちなんだ。メディアは怒れる白人男性ばかりをトランプ支持者と強調するけど、違う。たとえば、年配のアメリカ人白人女性の戦争に対する考え方は、第二世界大戦の戦火を生き抜いた同じ年代のドイツ人女性の考え方とは180度違うんだ。自分の住んでいる街が爆撃されず、自身が兵隊に取られることもなかった彼女たちは、戦争にそれほど嫌悪感を持っていない場合もある。つまり、テロの恐怖を使って、タカ派や右派が一番取り込みやすい層なんだよ」


「オバマを継承するヒラリーはダメ
トランプが指名を得たら必ず勝たせる」

オバマケアの影響で、ロサンゼルスのレストラン関係者が苦境に立たされている。そこトランプ人気はその反動か

「オバマケアのせいで、LAのレストランがどんどん潰れてるんだ」

 カリフォルニア州、ロサンゼルス近郊のレドンド・ビーチに住むビル・シュミッドの声には怒りが籠もっていた。

 ロサンゼルス全域のレストランに食材を卸売りする会社でセールス担当として働く彼は、オバマケアが施行されてから、レストラン業界が大きな打撃を受けてきたと語る。レストラン業界では、週に30時間以上働く社員が、フルタイム社員とカウントされる。フルタイム社員を50人以上雇っている企業は、オバマケア施行後、社員に医療保険を提供することを義務づけられた。

 医療保険を提供しない場合には罰金が課せられる。そのため、多くのレストランがフルタイム社員を減らし、パートタイム社員を増やして保険を提供する義務を逃れるか、規定通りに社員に保険を提供して、そのコストを負担するという選択肢を迫られた。

「フルタイムのスタッフがパートタイムに格下げされ、収入が激減したケースを何度も見てきた。料理の価格を値上げして、客にオバマケアのコストを払わせる手もあるが、それをやれば当然、値上げしない店に客をごっそり取られてしまう」とシュミッドは言う。

 さらに、ロサンゼルスの最低時給は2020年までに9ドルから15ドルへと段階的に引き上げられる。これもレストランオーナーにとっては、頭の痛いコスト増となるため、人員削減をせざる得ない企業が増える。「オバマの社会主義は、レストランオーナーも労働者も幸せにしないどころか、彼らの将来を潰そうとしているとしか思えない」とシュミッドは言う。