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社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

厚労省vs.経産省で政策を競え!
保育のイノベーションに足りない極端な視点

竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]
【第154回】 2016年4月5日
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 『週刊文春』の頑張り効果もあり、ここのところ、いかにもワイドショー的なスキャンダルが続出し、マスメディアやネットを賑わしている。年明けの「ベッキー×ゲス乙女不倫」から始まり、「イクメン議員ゲス不倫」、「ショーンK学歴・経歴詐称問題」を挟み、今度は5人の女性と不倫していたという「ゲスの極み乙武」と、今年の流行語は「ゲスで決定!」の勢い。たぶん10年後くらいに2016年を振り返ったら、「あれはゲスな年だった」とか総括されるのかもしれない。

 個人的にはゲスな話題は嫌いではない。そもそもワイドショーやら、週刊誌やら、スポーツ紙などは、「ゲスの極み」を追求するメディアだし、大衆とは、ゲスが大好きな人種なのだ。また、ゲスな話題に人間の本性が表れるという側面もある。しかし、ワイドショーや週刊誌と言っても、そこは仮にもメディアである。ネット民がゲスな話題でゲスに騒ぐのとはワケが違う。メディアにはやはり「メディアの正義」というものがあってしかるべきで、その正義とは「本質を議論する」ということだと思う。その視点から言えば、一連のスキャンダルに関してはあまり本質的な議論がなされていない。

 ショーンK問題の本質については、当連載の第153回記事でも論じたが、今回の乙武氏不倫問題に関しても、ほとんど本質論が議論されていない。

タブー視されてきた「障害者の性」

 乙武氏不倫問題の本質はふたつある。ひとつは「障害者の性」の問題だ。今回の騒動で社会に対して明確になったことは、「障害者だって性欲がある」ということだ。これは言われてみれば当たり前のことだと思うだろうが、実際には日本の障害者支援の文脈では完全に無視されてきた問題である。もうほとんど「障害者には性欲というものがない」という前提で進められてきたと言っても過言ではない。というか、そのような問題を議論すること自体がタブー視されてきたと思う。

 その証拠に、「障害者ネタ」はテレビや新聞などメディアの定番ネタで、障害者支援の団体や取り組みの多くが頻繁に紹介されている。日本テレビの『24時間テレビ』でも数多くの障害者が登場して、彼ら彼女らの奮闘ぶりを称えるVTRを流したりしているが、メディアの中で障害者の性が正面切って取り上げられることはほとんどなかった。

 欧米には障害者の性処理を行なうNPOがあるし、日本にも障害者の性問題に取り組む「ホワイトハンズ」という団体もある。こちらの団体のウェブサイトのメディア掲載履歴を見ると、最近はテレビメディアも障害者の性問題に少しは関心を持つようになってきたようだが、まだまだ一般の認知度も、理解も足りない。

 ゆえに今回の乙武氏不倫問題は、まだまだ理解が足りない障害者の性問題を一気に社会的イシューへと引き上げる千載一遇のチャンスだった。にもかかわらず、メディアもネット民も、乙武氏の性癖の問題に(単なる好奇心として)矮小化するだけだ。

 また、乙武氏自身も、この問題を社会問題へと昇華させる気がないように感じる。乙武氏はこの障害者の性問題のまさに当事者中の当事者なのだから、これを機会にこの問題を広く深く社会で議論するきっかけとなってほしいと思う。だが、これについては後日改めて論じたいと思う。

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竹井善昭 [ソーシャルビジネス・プランナー&CSRコンサルタント/株式会社ソーシャルプランニング代表]

マーケティング・コンサルタントとしてクルマ、家電、パソコン、飲料、食品などあらゆる業種のトップ企業にて商品開発、業態開発を行なう。近年は領域を社会貢献に特化し、CSRコンサルタント、社会貢献ビジネスの開発プランナーとして活動。多くの企業にてCSR戦略、NGOのコミュニケーション戦略の構築を行なう。「日本を社会貢献でメシが食える社会にする」ことがミッションに、全国各地で講演活動を行なう。ソーシャル系ビジネスコンテストや各種財団の助成金などの審査員多数。また、「日本の女子力が世界を変える」をテーマに、世界の女性、少女をエンパワーメントするための団体「ガール・パワー(一般社団法人日本女子力推進事業団)」を、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美氏、日本キッズコーチング協会理事長の竹内エリカ氏らと共に設立。著書に『社会貢献でメシを食う。』『ジャパニーズスピリッツの開国力』(いずれもダイヤモンド社)がある。

株式会社ソーシャルプランニング
☆竹井氏ブログ 社会貢献でメシを食う〝REAL(リアル)〟
☆Twitterアカウント:takeiyoshiaki


社会貢献でメシを食う。NEXT 竹井善昭

CSRやコーズマーケティングをはじめ、「社会貢献」というテーマがポピュラーとなったいま、「社会貢献のセカンドウェーブ」が来ている。新たなサービスやプロジェクトのみならず、新たな主役たちも登場し始めた。当連載では話題の事例を取り上げながら、社会貢献的視点で世の中のトレンドを紹介していく。
*当連載は、人気連載『社会貢献を買う人たち』のリニューアル版として、2014年1月より連載名を変更しました。

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