旧日本帝国海軍のキャラが大人気!?
日本アニメに熱狂する中国の若者たち

中国のコミックマーケットの1つ「Comicup」。日本の声優も大人気

「なんてったって、今、中国の若者の間で人気なのは『ラブライブ!』『艦これ』『東方Project』の3つ。これがトレンドであり、キーワードなんですよ」

 上海在住の王暉(30歳)さんは目を輝かせる。王さんは仕事の傍ら、日本のサブカルを常時チェック。中国版のツイッターやLINEなどで多くのフォロワ―を持つオタク(中国語で宅男)なだけに、旬の情報に詳しい。

 日本人でも前述の3つのタイトルを聞いて「えっ、何?一体、何の名前?」と意味不明の人もいるだろう。かくいう筆者も似たようなもの。約1年前、南京の同人イベントで『艦これ』のイラスト集を中国人が描いているのを見たときは仰天した。『艦これ』の正式名称は「艦隊これくしょん」。旧日本帝国海軍の艦船を萌えキャラクター(アニメの美少女)に擬人化したゲームのことだからだ。

「旧日本帝国海軍のキャラ? それが中国の若者に大人気だって? ウソでしょ!」と思わず叫んだが、事実は小説よりも奇なり――。古くは『ドラえもん』『一休さん』に始まり、『ワンピース』『名探偵コナン』などの日本のアニメが中国で非常に人気があることは日本でも知られているが、現実はもっとずっと先へと進化している。彼らは日本人の若者と同時進行で、ネットを介して日夜日本のマニアックな情報にアクセスしているからだ。

 中国では日本のどんなサブカルチャーが人気なのか。そして、それはなぜなのか。興味を持った筆者は取材を試みた。取材を進めていくと、その答えは、意外にも中国人が無意識のうちに追い求めているもの――“日中の共通点”であることがわかった。

「え~っと、『ラブライブ!』の面白さですか。やっぱり9人の女性高生たちの強いキャラクターじゃないでしょうか。9人の中に、たいてい自分の好きなタイプの子が1人くらいいて、その子に憧れたり励まされたりするような気分になるんですよ。そんなところは、アイドルのAKB48の“押しメン”になるのとそっくりですよね!」(王さん)

 『ラブライブ!』とは学園ラブコメディで、9人の女の子がアイドルになる物語。マンガ、アニメ、小説などがあり、テレビでも放映されている。