184日間の会期で行われる上海万博は、8月11日に100日目のターニングポイントを迎えた。当初懸念された来場者数も、開幕100日にして5500万枚の入場券を販売、目標の7000万人を超える可能性が高まっている。
328ヘクタールの会場に242の国と国際機関が出展、そのスケールとそこに押し寄せる大群は想像するだけでも気が遠くなる。本来のテーマであるはずの「ベターシティ、ベターライフ」も、一部のパビリオンの仮想空間で体験できるものであり、その一歩外では、炎熱地獄、長蛇の列、コンサートチケット入手の争奪戦と、理想とかけ離れた修羅場となっていた。ここではむしろ「秩序維持」が最も現実的なテーマだった。
来場者の携帯電話には、「割り込まないで、列に並ぼう」とショートメッセージが着信する。当局も混乱を避けるためにありとあらゆる手を打っているのだ。上海万博の陣頭指揮を執る書記のモ瘰ウ声氏は「問題を正視しそこから逃げない」とトップ自ら現場に足を運ぶ。
列の並び方、高温日への対処、清掃法、特別通路、ニセモノ問題、「高すぎる」と言われた会場の食事……。ありとあらゆる細かい問題が山積しているが、意外にも「即座に改善」の姿勢はあちこちに見らされた。すでに100日後の時点で、行列やトイレでの混乱はほとんどなかった。
中国の民営企業の力量は
この程度なのか
「驚きや楽しみが万博の本質」という名言もある一方で、上海万博でその感動にたどり着くには「忍」の一字が必要だった。だが、直面するのは理想と現実のかなりのギャップ。耐えた挙げ句の現実に「ショック」を受ける来場者も少なくない。
「中国の民営企業の力量をこの目で見たい」と中国民企館(民間企業共同館)の列に加わる四川省出身の大学生がいた。中国民企館では1978年に創業した愛仕達(厨房器具メーカー)、80年に産声を上げた民生銀行ほか、日本人にお馴染みのところで蘇寧電器(90年創業、家電量販店)、万豊奥特(94年創業、自動車部品メーカー)、阿里巴巴(99年創業、情報技術)などの16社が参加・出展している。
テーマは「春夏秋冬」、風雪に耐えて今があるというメッセージを織り込んだ。だが、壁に張り付けた紅葉、雪山のオブジェなど、稚拙の域を出ない展示に学生の顔は曇る。会場からは「没意思(おもしろくないぞ)!」のヤジまで飛んだ。