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China Report 中国は今

期待に応えた日本館、”怖いもの見たさ”人気の北朝鮮館――上海万博100日目の中間総括

姫田小夏 [ジャーナリスト]
【第57回】 2010年8月27日
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 184日間の会期で行われる上海万博は、8月11日に100日目のターニングポイントを迎えた。当初懸念された来場者数も、開幕100日にして5500万枚の入場券を販売、目標の7000万人を超える可能性が高まっている。

 328ヘクタールの会場に242の国と国際機関が出展、そのスケールとそこに押し寄せる大群は想像するだけでも気が遠くなる。本来のテーマであるはずの「ベターシティ、ベターライフ」も、一部のパビリオンの仮想空間で体験できるものであり、その一歩外では、炎熱地獄、長蛇の列、コンサートチケット入手の争奪戦と、理想とかけ離れた修羅場となっていた。ここではむしろ「秩序維持」が最も現実的なテーマだった。

 来場者の携帯電話には、「割り込まないで、列に並ぼう」とショートメッセージが着信する。当局も混乱を避けるためにありとあらゆる手を打っているのだ。上海万博の陣頭指揮を執る書記のモ瘰ウ声氏は「問題を正視しそこから逃げない」とトップ自ら現場に足を運ぶ。

 列の並び方、高温日への対処、清掃法、特別通路、ニセモノ問題、「高すぎる」と言われた会場の食事……。ありとあらゆる細かい問題が山積しているが、意外にも「即座に改善」の姿勢はあちこちに見らされた。すでに100日後の時点で、行列やトイレでの混乱はほとんどなかった。

中国の民営企業の力量は
この程度なのか

 「驚きや楽しみが万博の本質」という名言もある一方で、上海万博でその感動にたどり着くには「忍」の一字が必要だった。だが、直面するのは理想と現実のかなりのギャップ。耐えた挙げ句の現実に「ショック」を受ける来場者も少なくない。

 「中国の民営企業の力量をこの目で見たい」と中国民企館(民間企業共同館)の列に加わる四川省出身の大学生がいた。中国民企館では1978年に創業した愛仕達(厨房器具メーカー)、80年に産声を上げた民生銀行ほか、日本人にお馴染みのところで蘇寧電器(90年創業、家電量販店)、万豊奥特(94年創業、自動車部品メーカー)、阿里巴巴(99年創業、情報技術)などの16社が参加・出展している。

テーマは「春夏秋冬」、風雪に耐えて今があるというメッセージを織り込んだ。だが、壁に張り付けた紅葉、雪山のオブジェなど、稚拙の域を出ない展示に学生の顔は曇る。会場からは「没意思(おもしろくないぞ)!」のヤジまで飛んだ。

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姫田小夏 [ジャーナリスト]

ひめだ・こなつ/中国情勢ジャーナリスト。東京都出身。97年から上海へ。翌年上海で日本語情報誌を創刊、日本企業の対中ビジネス動向を発信。2008年夏、同誌編集長を退任後、「ローアングルの中国・アジアビジネス最新情報」を提供する「アジアビズフォーラム」主宰に。語学留学を経て、上海財経大学公共経済管理学院に入学、土地資源管理を専攻。2014年卒業、公共管理修士。「上海の都市、ビジネス、ひと」の変遷を追い続け、日中を往復しつつ執筆、講演活動を行う。著書に『中国で勝てる中小企業の人材戦略』(テン・ブックス)、共著に『バングラデシュ成長企業 バングラデシュ企業と経営者の素顔』(カナリアコミュニケーションズ)。

 


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90年代より20年弱、中国最新事情と日中ビネス最前線について上海を中心に定点観測。日本企業の対中ビジネスに有益なインサイト情報を、提供し続けてきたジャーナリストによるコラム。「チャイナ・プラス・ワン」ではバングラデシュの動向をウォッチしている。

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