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オヤジの幸福論

改革が進む確定拠出年金

後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 主任研究員]
【第54回】 2016年6月24日
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 先日、某TV局で放映されていた老後破産に関する番組を見ました。現役時代に保険料を払っておらず公的年金をもらえなかったケース、企業年金などで十分な老後資金を準備していたにもかかわらず、子供・孫世代との同居、親の介護などで貯蓄を取り崩しながら苦しい生活をしているケースなどが紹介されていました。どれも他人事ではなく、暗い気持ちになった人が多いのではないでしょうか。私も見ていてとても憂鬱な気持ちになってしまい、思わずチャンネルを変えてしまったほどです(録画していたので、後日視聴しましたが)。でも、日本政府もこの状態を放置しているわけではありません。厚生労働省は、2015年に確定拠出年金(以下、DC)をより拡充し使いやすくするための法案を国会に提出しました。昨年の国会では衆議院を通過したのち参議院は時間切れで通過できず継続審議となってしまいましたが、今回の国会では4月に参議院も無事に通過し、DC改革が現実のものとなりつつあります。

 そこで今回は、このDC改革がオヤジの皆さんにどのような影響があるのかを説明したいと思います。

ついに個人型DCがみんなの制度に!

 今回の改革ではDCをより使いやすくするための変更が実施されるのですが、最大の変更は個人型DC(個人の意志で加入するDC)に専業主婦や公務員も加入できるようになることだと思います。これにより、ほとんどの勤労者がDCに加入できることになるため、DCがより身近なものになると思われます。これまでは、民間サラリーマンから公務員に転職した際、転職後は民間時代に加入していたDCを継続できませんでした(掛金拠出できず運用するだけの状態になる)。専業主婦も同様です。女性の場合、子育てのためにいったん専業主婦になることもあると思いますが、今後は、そのような場合でもDCを継続できるようになります。また、会社が確定給付企業年金(いわゆる従来型の企業が給付を保証してくれる年金)のみを提供している場合には、その会社の従業員はDCに加入できなかったのですが、今後は老後に備え自助努力したい人は個人型DCに加入できるようになります。

 特に、2015年10月に共済年金が厚生年金に統合され、上乗せ給付の見直しが実施された公務員は概して老後に対する危機意識が高いようですから、個人型DCの解禁とともに利用される方は相応にいらっしゃるのではないかと思います。

 ちなみに、DCは運用益が非課税になるだけでなく、掛金が所得控除の対象になります。所得税率が20%ならばその分が年末調整で戻ってきますから、NISAよりも税制メリットの大きい制度なのです。原則60歳まで引き出せないなどの注意点もありますが、だからこそ老後の資産形成ツールとしてはNISAよりも適していると言えるでしょう。

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後藤順一郎 [アライアンス・バーンスタイン株式会社 AB未来総研 主任研究員]

慶應義塾大学理工学部 非常勤講師。1997年慶應義塾大学理工学部管理工学科卒業。97年株式会社富士銀行(現 株式会社みずほ銀行)にて、法人向け融資業務に従事。2000年みずほ総合研究所に勤務し、主として企業年金向けの資産運用/年金制度設計コンサルティングに従事。06年一橋大学大学院国際企業戦略研究科にてMBA取得。同年4月アライアンス・バーンスタイン株式会社に入社。共著書に「企業年金の資産運用ハンドブック」(日本法令 2000年)、「年金基金の資産運用-最新の手法と課題のガイドブック-」(東洋経済新報社 2004年)などがある。

 


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年金支給が70歳支給になるかもしれない。公的年金ばかりか企業年金も怪しくなっている。銀行の金利も微々たるもの。平均寿命が延びるほどに老後が不安になってくる。自分で自分を守るためにどうしたらいいのか。オヤジの幸福のために自分年金について教えます。

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