日本最大級のゲーム業界イベント「東京ゲームショウ2010」(千葉・幕張メッセ)が、今日16日からスタートする。毎年、ゲームショウ開催を皮切りに業界は年末商戦準備をスタートさせるが、今年は急激な円高や、海外市場攻略などさまざまな課題が山積し、業界をとりまく環境は難しさを増している。そこで、ゲーム業界で活躍するトップ2社のゲーム開発者でもあり、会社のマネジメント職でもある、稲船敬二カプコン常務執行役員と日野晃博レベルファイブ社長に業界の現状と今後について語ってもらった。(聞き手/石島照代)

稲船敬二カプコン常務執行役員(写真左)と日野晃博レベルファイブ社長(写真右)。

石島:カプコンとレベルファイブは今業界でもかなり勢いのあるメーカーですが、その2社でなにかおもしろいことに取り組んでおられるとか?真偽のほどはいかがでしょう? 

稲船:そのウワサは事実です。いま、本当におもしろいことに、2人と2社のスタッフで取り組んでいます。自分にとって、日野さんは年下だけど尊敬できる人なので、ぜひ一緒に仕事をしてみたいと思ってお声がけしました。

 日野さんのいちばん尊敬できるところは、仕事に対する姿勢ですね。自分も日野さんに会うまでは仕事量に自信を持っていたから、自分が業界で一番働いているって、思い上がっていました。でも、日野さんに出会ったときに「一番じゃないかもしれない…」って思ったし、最近は「…一番かも?」くらいになっちゃった(笑)。

 それに加えて、日野さんは仕事で結果も出している。「レイトン教授」シリーズ(ニンテンドーDS用)は世界累計出荷本数約950万本、「イナズマイレブン」シリーズ(ニンテンドーDS用)は、国内累計出荷本数約270万本ですよ。仕事はするし、結果も出せる日野さんとは、誰もが一緒に仕事をしたいと思うんじゃないかな(数字は2010年8月末現在)。

石島:最近、「経営者自身がフリーライダーの会社はダメだ」という話が、ダイヤモンド・オンラインでも人気ですが、日野さんはその真逆なわけですね。

稲船:「社長はゴルフばっかりするのが仕事だ」とか、ステレオタイプな社長像を持っている人は多いけど、日野さんはまったく違う。自分で制作のトップに立って会社を引っ張る。社員だって、日野さん以上に働けって言われたら困る人、多いと思いますけどね。

石島:ずいぶん、持ち上げられた日野さんですが…。

日野:いや本当に恥ずかしいですけど、僕こそ尊敬する稲船さんに、そこまで言っていただけて光栄です。この対談も、本当に楽しみにしていました。僕がカプコンさんにお伺いできるよう、スケジュールをやりくりしていましたが、結局都合がつかず、稲船さんに弊社にお越しいただく形になり本当に恐縮しています。

 稲船さんとお付き合いさせていただいていると、やりたいことがいっぱい生まれてくる感じで、刺激が多いです。共同プロジェクトもそうですが、いろいろ協力し合うことは本当に面白いし、一緒にいるとプラスになることがいっぱいあります。