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トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ
【第17回】 2016年7月12日
著者・コラム紹介バックナンバー
林要 [GROOVE X代表取締役]

プロフェショナルな「素人」が最強である!
Pepper元開発リーダーが明かす「0」から「1」を生み出す仕事力

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ビジネスパーソンはそれぞれ専門知識や専門技術を磨き上げなければなりません。しかし、仕事に向き合う姿勢が中途半端だと、身につけた専門知識などが、むしろ邪魔になってしまう。特に、ゼロイチのプロジェクトでは、害悪すらもたらしかねない……。Pepper元開発リーダー・林要さんは、そう言います。どういうことか?林さんの著書『ゼロイチ』から抜粋してご紹介します。

 

中途半端な「専門家」ほど厄介な存在はない

 中途半端な専門家──。
 ゼロイチにとって、これほど厄介な存在はないと思っています。
 もちろん、ビジネスパーソンはそれぞれ専門知識や専門技術を磨き上げなければなりません。しかし、仕事に向き合う姿勢が中途半端だと、身につけた専門知識などが、むしろ邪魔になってしまう。特に、ゼロイチのプロジェクトでは、害悪すらもたらしかねないと思うのです。 

 なぜなら、「これまでとは違うことをする」のがゼロイチだからです。
「これまでとは違うこと」なのですから、当然、失敗するリスクがあります。そして、専門家には、そのリスクがよく見える。これは、いいことです。事前にリスクを洗い出して、しかるべき対策を打てるからです。

 しかし、ここで中途半端な専門家は、「できない理由」を並べ始めます。専門家であるからこそ、いくらでも並べられる。その結果、ゼロイチのプロジェクトが迷走し始めることがあるのです。

 もちろん、実現する可能性のないプロジェクトを専門家の知見により、早めに見切ることも時には大切です。しかし、ゼロイチとは、そもそも成功するか失敗するかギリギリのチャレンジ。失敗するリスクのないゼロイチなど、ありえないのです。

 であれば、まずは「できる可能性」をとことん追求することが重要。「できない理由」ばかり並べても、何かを生み出すことなどできるはずがないのです。

 なぜ、こんなことが起きるのか?
 結局のところ、仕事に向き合う姿勢の問題だと思います。
 あらゆる仕事は、なんらかの「価値」を生み出すためにあります。そして、その「価値」を生み出すために、あらゆる努力をするのがプロフェショナルです。

 ところが、その姿勢が中途半端な人は、「関係者が丸くおさまること」「自分の経歴に傷がつかないこと」「後始末が手間にならないこと」など、これまでのやり方の枠内にとどまったままの、面倒が少ない選択肢を探します。「価値」を生み出すことよりも、「うまくやる」ことに固執するのです。

 そして、その言い訳に専門知識を使い始める。しかも、厄介なことに、自らはプロジェクトのためだと思い込んでいるから、その言い訳に熱が入ります。しかし、これでは本末転倒。専門知識は、「価値」を生み出すためのツールにすぎないはず。ここを間違えると、専門知識がゼロイチの障壁となってしまうのです。

 

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林要(はやし・かなめ) [GROOVE X代表取締役]

林 要(はやし・かなめ) 1973 年愛知県生まれ。東京都立科学技術大学(現・首都大学東京)に進学し、航空部で「ものづくり」と「空を飛ぶこと」に魅せられる。当時、躍進めざましいソフトバンクの採用試験を受けるも不採用。 東京都立科学技術大学大学院修士課程修了後トヨタに入社し、同社初のスーパーカー「レクサスLFA」の開発プロジェクトを経て、トヨタF1 の開発スタッフに抜擢され渡欧。「ゼロイチ」のアイデアでチームの入賞に貢献する。帰国後、トヨタ本社で量販車開発のマネジメントを担当した際に、社内の多様な部門間の調整をしながら、プロジェクトを前に進めるリーダーシップの重要性を痛感。そのころスタートした孫正義氏の後継者育成機関である「ソフトバンクアカデミア」に参加し、孫氏自身からリーダーシップをたたき込まれる。 その後、孫氏の「人と心を通わせる人型ロボットを普及させる」という強い信念に共感。2012 年、人型ロボットの市販化というゼロイチに挑戦すべくソフトバンクに入社、開発リーダーとして活躍。開発したPepper は、2015 年6 月に一般発売されると毎月1000 台が即完売する人気を博し、ロボットブームの発端となった。 同年9 月、独立のためにソフトバンクを退社。同年11 月にロボット・ベンチャー「GROOVE X」を設立。新世代の家庭向けロボットを実現するため、新たなゼロイチへの挑戦を開始した。


トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ

「0」から 「1」を生み出す力を日本企業は失っているのではないか? そんな指摘が盛んにされています。一方、多くのビジネスパーソンが、「ゼロイチを実現したい が、どうしたらいいのか?」と悩んでいらっしゃいます。そこで、トヨタで数々のゼロイチにかかわった後、孫正義氏から誘われて「Pepper」の開発リー ダーを務めた林要さんに、『ゼロイチ』という書籍をまとめていただきました。その一部をご紹介しながら、「会社のなかで“新しいコト”を実現するために意 識すべきエッセンス」を考えてまいります。

「トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法・ゼロイチ」

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