社会保険料ってなんでこんなに高いの?」
「安くできる方法ってないの?」
「どんな時に、どんな給付がもらえるの?」
「細かい話はいいから、重要なことだけ知りたい!」


そんな社会保険にまつわる素朴な疑問や不満を、ストーリー形式で解決していく本連載。

第14回は、個人ではなく、会社が社会保険料の「モトをとる」知識をざくっとお伝えします。

(書籍『いちばんわかる! トクする! 社会保険の教科書』より抜粋)

助成金は、星の数ほどあるけれど……

松島先生:さて今日は、個人ではなくて、会社が社会保険料の「モトをとる」方法をお伝えしていきますよ。まず、これが雇用関係助成金の一覧です。

佐藤さん:うわあ、こんなにあるんだ。スゲー!

梅田先生:でもこれ、実際のところ、全部使えるのかね。

松島先生:……身もフタもないですが、半分は使えないですね。役所の人もよく知らなかったりしますから。「今年はこの助成金申請1件もナシでした」、とかいうこともあります。

田中社長:どうせ、予算だけ付いているんでしょ。

松島先生:
1度も日の目を見ずに終了という助成金もあったりするんですよね……。

 雇用関係の助成金は、雇用の安定、職場環境の改善、仕事と家庭の両立、従業員の能力向上などを目的に、雇用保険の一部を財源に支給されます。対象となるのは、次の3つの要件を満たす事業主です。

(1)雇用保険適用事業所の事業主であること
(2)支給のための審査に協力すること

(書類の整備・保管・提出、実地調査の受入れなど)
(3)申請期間内に申請を行うこと

 逆に、不正受給をしてから3年以内に申請した事業主や、前年度より前の年度で労働保険料を納めていない事業主、申請の前1年間に労働関係法令の違反があった事業主などは、助成金を受給できません

 それらの基本的な要件を満たして、過去の不正受給などがなく、各助成金ごとの要件も満たせば、ほとんどの場合で受給することができます。

 問い合わせ窓口は、基本的に都道府県の労働局です。ハローワークでも受け付ける場合がありますが、高年齢者雇用安定助成金および障害者雇用納付金制度に基づく助成金は、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」が窓口になります。

 ちなみに、雇用関係助成金は毎年、改正があって、廃止されるものと新設されるものが続出します。申請しようと思ったらいつの間にか廃止になっていた……とか、知らない間に新しい助成金制度ができていた……なんてことが頻繁にあるのです。

 信頼できる最新情報を入手するには、厚生労働省のwebページがいちばんです。「事業主の方のための雇用関係助成金」でweb検索すると、厚労省の最新の一覧表を確認することができます。

助成金の代表格は「雇用調整助成金」

松島先生:もちろん、是非活用したい助成金もたくさんあります。その代表格は、なんといっても「雇用調整助成金」です。

佐藤さん:雇用調整って、景気が悪くなったときにボクらみたいな従業員が調整されちゃうってことですか?

松島先生:いやいや、そういう意味での「調整」じゃありません。景気が落ち込むと、労働力を減らすという意味で自宅待機してもらうケースがあります。そうすると、本人に対して最低でも給与の6割を補償するという「休業補償」を、会社がしなくてはいけない。つまり働いていない人の給料を6割補填しなければいけないことになって大変なので、この助成金で休業補償を補填してください、という趣旨の助成金なんです。

佐藤さん:うーん、なんだかよくわからないけど、やっぱり調整されちゃうんだ。従業員にとっては、あまりありがたい事態ではないですよね。

田中社長:いや、経営者にとってはありがたいから覚えとこう。たとえば、20円万払ってた社員に自宅待機してもらう、となったときに、6割が国から出るってことですかね?

松島先生:ルール上は「最低6割」なんですね。6割以上であればいくらでもいいので、100%の会社もある。ルール上は6割でいいんだけど、「うちの会社は100%払う」というのであれば、100%に対して助成金がつきます。

田中社長:全額ですか!

松島先生:いや、会社が本人に対して「休業補償だよ」と支払った金額の3分の2(中小企業)、もしくは2分の1(大企業)

梅田先生:逆に言うと田中社長。残り3分の1とか2分の1は自分で頑張ってねということです。

田中社長:あちゃー。

 「雇用調整助成金」は、景気の変動や産業構造の変化などによって事業を縮小せざるをえない場合に、「雇用調整」によって労働者の雇用を維持する事業主に支給されます。労働者の失業の予防や、雇用の安定が目的です。

 雇用調整とされるのは、所定労働時間内でも労働者に労働をできなくさせる「休業」、職業に関連する知識・技術を習得・向上させる「教育訓練」、それに「出向」の3つです。

 ただし、いずれの助成金でもそうですが、対象となる措置、対象となる事業主、対象期間などで、助成金別の細かい要件を満たすことが必要です。

 支給額は、休業の場合は支払われた休業手当相当額に、「助成率」を掛けた額、教育訓練の場合は教育訓練を実施した際に支払われた賃金相当額に「助成率」を掛けた額、出向の場合は出向を実施した際の事業主の負担額に「助成率」を掛けた額が、基本になります。

 受給の手続きについても、計画届の提出など細かい手順と期限が決まっています。どの助成金についても言えることですが、実際の手続きはプロの社会保険労務士に依頼することをおすすめします。

(続く)

----