社会保険料ってなんでこんなに高いの?」
「安くできる方法ってないの?」
「どんな時に、どんな給付がもらえるの?」
「細かい話はいいから、重要なことだけ知りたい!」


そんな社会保険にまつわる素朴な疑問や不満を、ストーリー形式で解決していく本連載。

第9回は、労災保険の前提知識として、おもな給付一覧を確認しておきましょう。

佐藤さん:先日、助成金をもらう話のときに、「もらえる給付をもらわないのはソンだ」っておっしゃってましたよね?今日は、よく聞く「ローサイ」の給付について聞きにきました。

松島先生:もちろんいいですよ。労災保険の給付に関する事項についての指導も、私たちの重要な仕事ですからね。

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(前回までの記事はこちらからどうぞ)
第1回 社会保険料を「払い損」しないための知識:民間の生命保険と社会保険はどう違う?

第2回 給与明細の「社会保険料」の額って高過ぎじゃない?と思ったら読む記事

第3回 手取りが減った!と思ったら「この表」を見よう

第4回 6月に残業する人が「損」する理由

第5回 年収726万円以上の人の「特権」:ボーナスと社会保険料の関係

第6回 「介護離職」を救う助成金を見逃すな!

第7回 7月昇給の会社は「アタマがいい」理由:昇給と社会保険料の関係
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 労災保険でもっともポピュラーな給付といえば、「療養の給付」でしょう。仕事によるケガや病気、通勤途中のケガや病気などで療養が必要なとき、労災指定病院などで本人負担なしに、無料で治療が受けられます(※通勤災害は、200円の一部負担金があります)。

 ちなみに、社会保険の保険給付を「給付」と言って、「給付金」とまとめて言えないのは、このような現物の給付があるためです。診察や治療は、現物給付に当たるという考え方です。

 治療を受けたのが労災指定医療機関でなかった場合は、いったん費用を支払い、あとで相当額の支給を受ける「療養の費用の支給」もあります。

「業務災害」と「通勤災害」

 また、仕事による病気やケガを「業務災害」と言い、業務災害の場合の呼び方が「療養補償給付」です。これに対して通勤途中のケガなどは「通勤災害」と言い、「療養給付」という呼び方になります。

 他の給付でも、「補償」が付くのは業務災害、付かないのは通勤災害の場合です。「○○(補償)給付」とあった場合は、業務災害と通勤災害、両方の場合の給付を指すと思ってください。

松島先生:ところで、労災保険というと、この療養の給付だけだと思っている人が多いようですね。

佐藤さん:えっ、ほかにも労災から出る給付があるんですか?

松島先生:あるも何も、治療を受けたあとも会社を休まざるをえないとき、なかなか治らないとき、障害が残ったとき、そして万が一のときまで、至れり尽くせりですよ。

佐藤さん:すごい!ほかにもありますか?

松島先生:おもなものをまとめると、下のようになります。


佐藤さん:おお!こんなにたくさんの種類があるんですか!全然知らなかった!

松島先生:次回は、業務災害と通勤災害の具体的な給付条件についてみていきましょう。

(続く)