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3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

ほとんどの企業は本当に重要な数字について知ろうとはしていない

上田惇生
【第215回】 2010年10月25日
著者・コラム紹介バックナンバー
ダイヤモンド社刊
2310円(税込)

 「人口構造の変化と同じように重要でありながら、経営戦略上ほとんど関心を払われていないものとして、支出配分の変化がある。21世紀の初めの数十年は、この支出配分が重要な意味をもつ」(『明日を支配するもの』)

 かつては、生活水準の高さを示す数字として、エンゲル係数なるものが使われた。消費支出に占める飲食費の割合のことだった。

 ドラッカーは、経営環境の変化を知るには、このエンゲル係数に相当するものを見つけよと言う。

 多くの企業が売り上げの増減を気にする。あるいは市場シェアに気をつかう。こうして、あらゆる企業が自らの成長の度合いを数字で把握しようとする。

 それなのに、ほとんどの企業が、本当に重要な数字については知らない。すなわち、顧客の全支出のうちで、自社が提供するカテゴリーの製品とサービスに向けられているぶんの割合である。

 ドラッカーは、支出配分の変化こそ、企業にとってあらゆる情報の基本だという。しかも、必要な情報のなかでは、むしろ手に入れやすいものである。支出配分は、一度落ち着けば、そのまま続く。それはトレンドである。

 たとえば、携帯電話に取られてしまったぶんを、出版業その他既存の産業が取り返すのは容易なことではない。ところが、この変化を重視する企業やエコノミストがいない。そもそも、そのような問題があることを知らない。

 「支出配分の変化こそ、企業にとってあらゆる情報の基本である」(『明日を支配するもの』)

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上田惇生(うえだ・あつお) 

 

ものつくり大学名誉教授、立命館大学客員教授。1938年生まれ。61年サウスジョージア大学経営学科留学、64年慶應義塾大学経済学部卒。経団連、経済広報センター、ものつくり大学を経て、現職。 ドラッカー教授の主要作品のすべてを翻訳、著書に『ドラッカー入門』『ドラッカー 時代を超える言葉』がある。ドラッカー自身からもっとも親しい友人、日本での分身とされてきた。ドラッカー学会(http://drucker-ws.org)初代代表(2005-2011)、現在学術顧問(2012-)。

 


3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言

マネジメントの父と称されたドラッカーの残した膨大な著作。世界最高の経営学者であったドラッカーの著作群の中から、そのエッセンスを紹介する。

「3分間ドラッカー 「経営学の巨人」の名言・至言」

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