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あなたの会社は大丈夫? 「タダ乗り社員」を生む職場

低信頼社会に広がる「タダ乗り」という疑心暗鬼
米国人と比べて他人を信用しない日本人?

河合太介 [(株)道(タオ)代表取締役社長],渡部 幹 [モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]
【第15回】 2010年10月27日
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挨拶や感謝の言葉のやりとりは
実は信頼醸成のための「高等戦略」

 前回と前々回は、誤解によって社員同士がお互いをフリーライダーと見なし合う事態を避けるために、コミュニケーションが重要であることを述べた。

 誤解が生じる原因の多くは、相手に対する不信に基づいているため、普段から円滑なコミュニケーションがあれば、そのような不信を持たなくて済む。したがって、不信感を払拭し、相互に信頼できるようなコミュニケーションをとることによって、「誤解型」のタダ乗りは防ぐことができる。

 また前回は、挨拶や感謝の言葉といった「当たり前」のことが重要だと述べた。拙著『フリーライダー――あなたの隣のただのり社員』でも、以前出版した『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』でも、同様のことを述べている。

 小学生のホームルームの時間でもあるまいし、「何を今さら」と感じる読者も多いだろう。しかし、挨拶や感謝の言葉のやりとりから始めるということには、理論的な根拠がある。

 信頼し合っている人々は、お互いに色々なものを「任せる」ことができる。会社の場合には、「仕事を任せる」ケースが一番多いだろう。他人に仕事を任せるということは、手を抜く(タダ乗りする)とか失敗する(能力が不足している)とは思わず、いちいちチェックしたり、監視しなくても、きちんと業務を遂行できると「信頼」することを意味する。

 しかし、他人同士が業務を任せ合うような信頼関係をいきなり築くことは、まずない。そのような信頼関係は、それ以前の様々なコミュニケーションによって成り立つ。

 見知らぬ相手との信頼を築こうとするときは、まずお互いにそれほど重要ではない仕事を任せ、そこで上手くいったならば、もう少し重要な仕事を任せる、というやり方をとることがある。

 つまり、信頼が裏切られても損害があまり出ないところから始めて、相手が信頼に応えると、もう少し重要な仕事にステップアップするやり方だ。

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河合太介 [(株)道(タオ)代表取締役社長]

ワトソンワイアットを経て、「人と組織のマネジメント研究所」(株)道(タオ)を設立。ベストセラーとなった『ニワトリを殺すな』をはじめ、『デビルパワー エンジェルパワー』『育ちのヒント』(共に幻冬舎)など著書多数。慶応丸の内シティーキャンパス客員ファカルティー。

渡部 幹(わたべ・もとき)
[モナッシュ大学マレーシア校 スクールオブビジネス ニューロビジネス分野 准教授]

UCLA社会学研究科Ph.Dコース修了。北海道大学助手、京都大学助教、早稲田大学准教授を経て、現職。実験ゲームや進化シミュレーションを用いて制度・文化の生成と変容を社会心理学・大脳生理学分野の視点から研究しており、それらの研究を活かして企業組織にも様々な問題提起を行なう。現在はニューロビジネスという大脳生理学と経営学の融合プロジェクトのディレクターを務めている。代表的な著書に『不機嫌な職場 なぜ社員同士で協力できないのか』(共著、講談社刊)。その他『ソフトローの基礎理論』(有斐閣刊)、『入門・政経経済学方法論』、『フリーライダー あなたの隣のただのり社員』 (共著、講談社)など多数。


あなたの会社は大丈夫? 「タダ乗り社員」を生む職場

いつになったら報われるのか――。熾烈な競争に晒されたビジネスマンは疲れ切っている。そんな彼らに強い負の感情を抱かせるのが、職場で増殖中の「タダ乗り社員」(フリーライダー)だ。タダ乗り社員が増える背景には、企業の制度やカルチャーが変化し、組織に矛盾が生じている側面もある。放っておいてはいけない。ベストセラー『不機嫌な職場』の著者陣が、タダ乗り社員の実態と彼らへの対処法を徹底解説する。

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