25年間も同一メンバーで存続をした
SMAPという組織の驚異

SMAP解散に見る、優良組織崩壊のきっかけメンバー間の内紛や、マネージャーと事務所の確執など、解散の原因を探る記事がたくさん出ているが、そもそも25年間も同じメンバーで存続できたことは高く評価するべきだ

 本連載「黒い心理学」では、ビジネスパーソンを蝕む「心のダークサイド」がいかにブラックな職場をつくり上げていくか、心理学の研究をベースに解説している。

 筆者は別のトピックで今回分の原稿を書いていたのだが、それを書きあげる直前に「SMAP解散」のニュースが入ってきた。今年に入ってから、メンバー間の確執や、関係者と事務所との間のトラブルの話など、すでに予兆はあったものの、ほぼ25年もの間、国民の誰もが知り、かつ高い好感度を誇るトップタレントとしてやってきたグループは他にないだろう。

 特に熱心なファンでもない筆者でも、解散は非常に残念に思うくらいだ。ファンならばなおさらだろう。実はSMAPについて書いてみたいトピックがあったので、急遽内容を変更して、この内容にした。

 現在のニュースやネット上での議論は、SMAPが「なぜ解散したのか」にほぼ集中している。解散後メンバーがどう活動するかの予測記事がぽつぽつとあるものの、多くの記事は解散に至る経緯での、元マネージャーと所属事務所とのトラブル、メンバー間の不和などを、憶測も含めて報じている。

 だが、SMAPを1つの組織と考えると、また違った見方が出てくる。メンバーの入れ替えが全くないまま(正確には森且行氏が1996年に脱退したが、入れ替えはない)、25年にわたり、存続できる組織というのは、家族を除けば、「例外的」といっていいだろう。

 2、3人の漫才やコントのトリオ、コンビは、「一緒でなければ芸にならない」という縛りがあるために長続きしやすいが、SMAPの場合はメンバー一人ひとりが個人でも看板を背負うことができるため、そういう縛りはきつくない。

 もちろん大企業などの大きな組織と比較するのには無理があるが、中小企業と比較しても、メンバーが変わらないまま、25年も優良組織として高い生産性を見せてきたSMAPは稀有な存在といえるだろう。

 したがって、組織論の観点からすると、なぜSMAPが解散したかよりも、なぜ25年も(しかも激動の芸能界の第一線で活躍し続けつつ)存続しえたのか、という問題のほうが、考察に値すると思っている。