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日本を元気にする経営学教室

学ぶべき経営のお手本はすぐ隣の国にある
素直に謙虚に学ぶことの大切さを再確認せよ
神戸大学大学院経営学研究科教授 加登 豊

遠藤 功 [早稲田大学ビジネススクール教授 株式会社ローランド・ベルガー会長],加登 豊 [神戸大学大学院経営学研究科教授],成生達彦 [京都大学大学院経営管理研究部教授],河野宏和 [慶應義塾大学大学院学経営管理研究科委員長 慶応義塾大学ビジネス・スクール校長]
【第22回】 2010年11月8日
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注目すべきは欧米ではなく
中国、韓国の企業

 日本には他国から学ぶことで成長してきた脈々とした歴史がある。しかし、バブル経済の崩壊後、この学びの姿勢が欠落しつつあるように感じる。

 古くは、中国や韓国から、政治/社会システムを学び、それを日本流にアレンジして活用した。明治維新では、岩倉具視使節団による情報収集とそれに基づく知見を基礎として、欧州各国から多くを学んだ。近代的な日本企業の基礎は、このときに確立されている。その過程では、お雇い外国人を登用し、各種の技術知識を吸収した。

 第2次世界大戦後には、戦勝国、とりわけ、アメリカから多くを学んだ。品質管理や事業部制もその代表的なものである。統計的品質管理を学んだ後に、それが品質を向上させる活動ではないことに気づき、QCサークルや提案制度などを通じて、全員参加の品質向上活動であるTQCへと昇華させた。事業部制についても、部分最適的な行動を各事業部がとる危険性に気づき、本社に権限を残しながら事業部の活動を大きくは制限しない、わが国独自の事業部制組織を生み出した。

 そのときそのときの最先端から、素直に謙虚に、そして、どん欲に学び、学習を通じて認識された問題に対して、わが国の風土に合うような解決策を考案し、巧みに活用してきたのである。このような地道な学習と経験の積み重ねこそが、そして、それのみが最先端に立ち、その位置を堅守するための王道である。このことを、私たちはいつの間にか忘れているようだ。

 日本企業の躍進が誰の目にも明らかになり始めた時、人まねを極端に嫌うアメリカでさえ、日本から謙虚に学ぼうとした。その活動の詳細は、『Made in America―アメリカ再生のための米日欧産業比較』(草思社、1990年、原著は1989年出版)に記述されている。

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遠藤 功(えんどう いさお) [早稲田大学ビジネススクール教授 株式会社ローランド・ベルガー会長]

1956年生れ。79年早稲田大学商学部卒業、三菱電機入社、米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。その後、米系戦略コンサルティング会社を経て、2008年から早稲田大学ビジネススクールのMBA/MOTプログラムディレクターとして、ビジネススクールの運営を統轄。また、欧州系最大の戦略コンサルティング・ファームであるローランド・ベルガーの日本法人会長として、経営コンサルティングにも従事。『MBAオペレーション戦略』『現場力を鍛える』『見える化』など著書多数。

加登 豊(かと ゆたか) [神戸大学大学院経営学研究科教授]

1953年生れ。78年3月神戸大学大学院経営学研究科博士課程前期課程修了、86年4月大阪府立大学経済学部助教授、94年1月神戸大学経営学部教授、99年4月神戸大学大学院経営学研究科教授、2008年4月~10年3月経営学研究科長・経営学部長。『インサイト管理会計』『インサイト原価計算』『ケースブック コストマネジメント』『管理会計入門』など著書多数。

成生達彦(なりう たつひこ) [京都大学大学院経営管理研究部教授]

1952年生まれ。78年横浜国立大学大学院経済学研究科修士課程卒業、81年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修学、89年米国ノ-スカロライナ州立大学大学院卒業(Ph.D.)、81年南山大学経営学部に就職、94年に教授、同年京都大学博士(経済学)、98年京都大学大学院経済学研究科教授、2006年京都大学大学院経営管理研究部教授、2008年~09年京都大学大学院経営管理研究部研究部長。主著に『ミクロ経済学入門』など。

河野 宏和(こうの ひろかず) [慶應義塾大学大学院学経営管理研究科委員長 慶応義塾大学ビジネス・スクール校長]

1980年慶應義塾大学工学部卒業、82年同大学院工学研究科修士課程、87年博士課程修了、同年慶應義塾大学大学院経営管理研究科助手、91年工学博士、91年助教授、98年教授となる。2009年10月より慶應義塾大学大学院経営管理研究科委員長、慶應義塾大学ビジネス・スクール校長を務める。1991年7月より1年間、ハーバード大学ビジネス・スクールヘ留学。IEレビュー誌編集委員長、TPM優秀賞審査委員、日本経営工学会理事。


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国内市場は成熟化する一方、グローバル化は急速に進展し、新興国の勃興も著しい。もはや、自ら新たな目標を設定し、ビジネスモデルを構築しなくてはいけない時代に突入。にもかかわらず、日本企業には閉塞感が漂う。この閉塞感を突破するにはどうしたらよいのか。著名ビジネススクールの校長・元校長で、経営学のリーダーたちが、リレー形式で、問題の所在を指摘し、変革のヒントを提起する。

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