市場はあくまで非情である<br />トップマネジメントは社外で働くことを学べダイヤモンド社刊
【絶版】

「一切のものが変化のさなかにあるとき、部屋で報告を待っていては手遅れになる」(『未来企業』)

 市場にとっては、いかなる製品、いかなる企業といえども、さして重要な存在ではない。最も価値があり、最も望まれている製品でさえ、多様な製品、サービス、満足の一つにすぎない。

 ドラッカーは、市場はいかなる企業も、いかなる産業も気にかけないという。市場は非情であり、最も忠実な者すら解雇手当なしにクビを切る。

 企業の倒産は、社員、取引先、銀行、労働組合、地域、国にとって大事件である。だが、市場には小波さえたたない。

 誰でも自らが行なうことや作るものは重要である。当然、企業の人間も、自らの企業とその製品をあらゆるものの中心に置いて考える。だが、顧客は、通常それらのものを見てもいない。

 トップマネジメントが行なうべきことは、休暇を取ったセールスマンに代わって外に出ることである。ドラッカーは、いかに多くを学べるかには驚くべきものがあるという。

 いかなる事業にあろうとも、トップマネジメントたる者は、多くの時間を社外で過ごさなければならない。それが、組織が生き残る唯一の道である。

「最初になすべきは、事業の結果が出る外に出かけることを学ぶことである。外の世界を知るための唯一の方法は、そこで働くことであって、たんに訪れることではない。バルセロナの子会社を訪ねるほどの無駄はない」(『未来企業』)