世界の「変調」「金融緩和オリンピック」
「政局化」は継続
先月の当コラムで筆者は、9月以降のストーリーラインを3つのポイント、すなわち、①「世界経済の変調」、②「金融緩和オリンピック」、そして、③「世界の政局化」とした。
この1ヵ月を振り返り、その潮流は足もとでも着実に続いている。
確かに、「金融緩和オリンピック」の結果、世界の金融市場は安心感を取り戻し、株価の戻しも見られた。しかし、実物経済については、製造業を通じた輸出連鎖が着実に経済の収縮を強める「恐慌」的な状況が続いている。
しかも、世界中が「政局化」するなか、一時的であれ、世界的に「決められない政治」状況になってしまっている。こうした状況は、1930年代の世界大恐慌の環境に類似する不安を持つ。
バランスシート調整のなか、財政緊縮により「変調」がより強まり、取り巻く環境要因については、1930年代の世界大恐慌の足音が聞こえるような状況にある。
10月のアノマリーは金融市場の変動、
世界大恐慌も10月だった
10月という月は、かつて歴史的にも金融市場で大きな調整が起きたことが多かった月であり、米国株式市場でもアノマリーとされることが多い。
なかでも、1987年10月19日のブラックマンデーは有名で、今年10月19日(金)はそれから25周年だった。25年前の当時、まだ駆け出しの債券ディーラーであった筆者は、当初、なにが起こったかわからなかったが、そのとき、初めて「質への逃避」という概念を知ったことを思い出す。