復活に向けた「第2次中期経営計画」で、エレクトロニクス事業の分社化推進を打ち出したソニー。市場環境の変化に応じて、柔軟に事業ポートフォリオを組み替えることが狙いだ。その一方で、分社化によりトップの責任を回避するというソニーならではの懸念も顔をのぞかせる。

「各事業を順次分社化し、より事業体としての自立性を高めた経営をしていきたい」

 東京・品川の本社で開いた経営方針説明会で、そう力強く語ったソニーの平井一夫社長兼CEOの姿に、復活の兆しを感じ取ることはまだできなかった。

平井ソニーのエレキ分社化 <br />懸念は経営責任の分散・転嫁「高収益企業へと変容を図る」と宣言した平井氏。改革に必須となる求心力を保つことはできるか
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 今回ソニーが発表した、2015年度から17年度までの「第2次中期経営計画」で、最大の柱となるのはエレクトロニクス事業のさらなる分社化だ。

 すでに分社化しているテレビやモバイル、ゲームなどに加えて、10月にはウォークマンなどを手掛ける映像・音響機器部門を分社化するほか、画像センサーのデバイス部門、カメラなどのイメージング部門についても準備を進めているという。

 狙いは何か。平井氏が語った視点は大きく三つある。

 一つ目は、組織上の「階層を減らし、より迅速な意思決定を可能にする」(平井氏)ことだ。

 10年連続で赤字が続いたテレビ事業をはじめ、意思決定の遅れがこれまでソニーの財務を大きくむしばんできた。