あと2ヵ月で2015年も終わろうとしているが、中国経済の失速、米FRBの利上げのタイミングなど、世界経済の流れが大きく変わろうとしている。果たして、2016年の日本経済はどうなっていくのか? 

先日『中原圭介の経済はこう動く(2016年版)』を上梓し、「もっとも予測が当たるエコノミスト」といわれる中原圭介氏が、2016年日本経済の行方を語った。

2016年、中国経済の悪化で
足を引っ張られる日本経済

 アベノミクスが始まって早くも2年10ヵ月が過ぎようとしていますが、その実態はというと、円安や株高によって大企業や富裕層が潤った一方で、国民生活は悪化し続けてきたということに尽きるでしょう。国民経済の視点から見れば、アベノミクスは完全に失敗に終わっていたわけです。

日本経済にとって本当に恐いのは、<br />中国経済の失速よりも米国経済の減速だエコノミストの中原圭介氏

 国民が景気回復を実感できない状況下で、2016年は外部環境の悪化が日本経済の足を引っ張る可能性が高まってきています。中国経済が大減速すれば、その悪影響は少なからず日本にも打撃を与えるからです。

 ただし打撃を受けるのは、主に企業部門になります。今のところ、中国経済の減速が企業業績の悪化として表面化しているのは、機械や素材などの設備投資に関連する業種が中心となっています。日本の大企業の中では、建設機械のコマツや日立建機、工作機械のファナック、鉄鋼の新日鉄住金、神戸製鋼所などで業績が悪化し始めています。

 今後は中国の消費市場まで弱含むことが想定されるので、自動車など影響を受ける業種は一気に拡大していくことになるでしょう。ただし、中国市場で自動車販売首位のフォルクスワーゲンが排ガス不正問題で自滅する見通しにあるので、日本の自動車メーカーはフォルクスワーゲンの需要を取り込み、それほど悪影響を受けないで済むかもしれません。

 また、中国から日本を訪れる観光客によるインバウンド消費も、これからは伸び悩む傾向が表れると予想することができます。中国の株価バブルが日本での爆買いに一役買っていたのは間違いなく、株価が暴落した今となっては、訪日観光客の人数が増加したとしても、1人あたりの消費額が減少するのはある程度は避けられないでしょう。