実際にアフリカを訪問した日本の経営者は少ない。丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長は自費で百数十万円を支払いアフリカのスラムを視察した。他の経営者もまずはアフリカに行くべきだと説く。(聞き手/『週刊ダイヤモンド』編集部 清水量介 撮影/加藤昌人)
丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長 |
――アフリカ開発会議や洞爺湖サミットではアフリカの貧困や食料問題が議題として上がっている。
このところ、そうした国際会議ではアフリカや世界の食料危機について宣言がなされる。しかし、私はちょっと待てよ、と言いたい。
2000年9月に、国際連合でミレニアム宣言が行なわれた。新しい世紀を迎えるに当たり、今後の1000年で世界が取り組むべき問題とその処方箋を世界の指導者が確認し合ったのだ。世界147ヵ国の首脳が参加した立派な宣言だった。
そこですでに「アフリカの貧困撲滅」といった問題が挙げられていた。
ところが、現在に至るもまったくそれは解決していない。にもかかわらず、毎度大規模な国際会議が開催されるたびに似たような宣言がされる。その労力は事態の改善に向けたほうがいい。宣言を掲げるだけではダメだ。
もう一度、ミレニアム宣言を日本も世界も再確認する必要がある。
――具体的にはどうすればいいのか。
なにより教育が大事だ。日本はアフリカの人たちが教育を受けられるように援助すべきだ。
今、アフリカは資源の面で注目されている。資源ビジネスも当然大事だ。しかし、アフリカが持続的に成長するためには国民の教育レベルを上げ、農業と工業の発展を促す必要がある。
経済発展のためだけではない。アフリカでは「子どもと性行為をすればエイズが治る」というデマが流布し実際に子どもがひどい目に遭っている。これも教育を受けていないことの悲劇だ。
私は飢餓と貧困問題に取り組む国連WFP協会の会長として多くの日本企業に寄付を呼びかけているが集まりが悪い。