女性フリーターに特徴的なのは、早婚傾向で専業主婦願望
「ジェンダー・就労・再生産」(第2章)では、内田龍史氏が女性フリーターへのインタビューを報告している。
彼女たちに特徴的なのは専業主婦志向で、19名中7名は将来的に専業主婦になることを希望、3名は結婚時もしくは子どもが生まれる際にいったん離職し、結婚後しばらくしてからパートなどで働きたいと述べ、結婚後も働きたいと答えた者は3名(うち正社員志向は1名)だった(残り6名は態度未定)。
彼女たちは、たとえば次のように述べる。
「【(高校の時、卒業後は)バイトでいいと思っていたのね?】バイトでいいと思っていたし、何年も働かんわ、2年ぐらいしたら結婚していると思ってて…相手もおらんのにそう思っていて。【…どういう人生になるかなという話だけれども、やはり、結婚して専業主婦という感じだったの?】そういうのを描いていた。だから、卒業して2年ぐらいは適当にバイトをして、2年ぐらいたったら結婚して専業主婦になってと思ってた…【中学校ぐらいにもうこういうイメージはあったの?】中学校のときにもそれなりに結婚願望あった。【そういうときに、バリバリ働き続ける妻というのは…。】ない。全くない。【全くない?】ない。【今もない?】ない。(後略)」[20歳・高卒]
「【結婚願望みたいなのは強い?】…あんまり働くこととか言ったら好きじゃないじゃないですか。専業主婦はいいなぁとか思いますけどね。【いずれ結婚したら、専業主婦みたいな形で、家事とか育児とかに専念みたいな感じがいいんかな?】うん。」[19歳・高卒]
彼女たちのもうひとつの特徴が早婚傾向だ。多くが「年を取ったお母さんにはなりたくない」と考えており、次のような語りがその典型だ。
「【(専業主婦に)なるかなという話を友達同士で頻繁にしていたんですか?】してた…仲がよかった子が、みんなといっていいぐらいに結婚しているか、それか彼氏と同棲している…【仕事がないというより、結婚できないという焦りが…】ある。周りがみんなしているのもあるけれども、今、男がおらんのもあるし、男がおっても長続きしないし、だから余計に焦る…【同年代で知っている人はだいたい専業主婦志望?】うん。【私は働いていくとか、夫に食わしてもらうなんて嫌よとかはいないの?】いない。一人もいない…【最初の子どもを産む平均年齢が28だからね。だから全然遅くないよ。】へえ。28といったら高齢出産になるんじゃないかな…」[20歳・高卒]
高卒・高校中退の彼女たちは20代前半で結婚し、母子家庭に
そんな彼女たちの理想の結婚相手は「たくましい男性」で、収入が不安定なフリーターはもちろん、収入が安定しているサラリーマンや公務員などもまったく人気がない。
「サラリーマンとかは嫌や。【何で?】リストラとか嫌や…肉体労働をしている人のほうが好き。男らしいし。【好き!】…でも、何か男らしいやん…大工さんとか。」[20歳・高卒]
「サラリーマンとか営業マンはあんましな。【嫌?…】うん。嫌やけど。【工場とかで働いている人は?】も、嫌。【どういう人がいい?】土木関係とかかな。」[20歳・高校中退]
「【現場で実際に汗流している人のほうがいい?】うん。【土方とか?】土方とか、そういう系が好き。やってる人が。【それは、どのへんが魅力なのかしら?】…たくましい。(略)【どうなんかな、ムラ中でネクタイしめてる人とかあんまり見いへんのかな?】うん…医者は嫌。【何で? 何かイメージ悪いん?】何か、嫌。【診療所の医者がいやとか、治療で痛い目あわされたとか?】違う。【何で? 白い服着てるから?】【えらそうにしてるとこかな?】何か、嫌。」[20歳・定時制高校中退]
内田氏はこれについて「身近な職業モデルの限定性」を指摘する。それもあるだろうが、「男らしさ」への好みには個人差があり、仮に身近に事務職の男がいたとしても彼女たちの多くは魅力を感じないのではないだろうか。
もうひとつ、彼女たちに共通するのは性的に早熟なことだ。たとえば高校1年の女子生徒(15歳)は、両親も異性関係を知っているとしてこう語る。
「【お父さんは例えばどんなふうに話をしてくるのかな…学校とか仕事とか、結婚とか】別に付き合っても…今の子やったら普通にやるやん…やるやん、普通に…身体、するやん。それでも妊娠できへんかったら別にやったらいいんちゃうみたいな。妊娠できへんようにするんやったら別になんも言えへん…【彼氏との話が親にいって、親がそんな話をする】付き合ってんのはいつかばれるやん。それで、「別に付き合っても子どもできんようにしぃや」みたいな。」[15歳・定時制高校在学]
話を聞いたなかには、高校生のときに未婚のまま出産した女性もいる。
「16のときかな。友達の紹介で付き合った子がおって、ほんでその付き合った子の子どもをお腹にはらんでしまって、まぁ産む前に別れたんやけど。んで産んだと。17の5月くらいかなぁ。5月に子ども産んだと。だから子どもも別になんていうんかなぁ、ノリで産んだみたいな感じがあって。まわりの子らが産んでるから産みたいみたいなノリがあって。」[20歳・高校中退]
さまざまな調査が示すように、高学歴の女性ほど長く働きたいと考え、結婚後も子育てしながら共働きを目指す。それに対して高卒・高校中退の彼女たちは「ガテン系」のたくましい男性と20代前半で(あるいは10代のうちに)結婚し、専業主婦になることを夢見ている。
現実にはそのような人生プランが実現することは少ないだろうが、そうなると母子家庭の生活を余儀なくされることになる。これでは「経済格差」はますます開いていくばかりだろう。




