イランは1日、低濃縮ウランの貯蔵量が2015年の核合意で定めた 300キロの上限を超えたと発表 した。
イランが明確かつ意図的に核合意に違反したのはこれが初めてだ。しかし、今のところは、核兵器の利用に十分な燃料の製造に向けた小さな一歩にすぎない。
イランは核合意前、1万1560キロの低濃縮ウランを備蓄していた。300キロという上限は、懸念される水準にまでイランが再び貯蔵量を高めるのに何カ月もかかるようにすることを狙いとした数字だ。
2015年の合意は、イランが取り決めを破った場合でも、兵器の製造に十分な原料を備蓄するのに1年かかるよう意図した内容になっている。兵器に利用する高濃縮ウランを製造するには、さらに数千基の遠心分離機の設置が必要になる。イランの現在の貯蔵濃縮ウランの純度は3.67%であるのに対して、兵器に利用するウランの純度は90%だ。
イランはかつて純度20%のウランを生産していたことがある。専門家によれば、その純度の核燃料を一度製造できれば、兵器級の燃料を造るのは比較的たやすい。イランは最大2万基の遠心分離機を保有していたが、その3分の2は核合意に基づいて保管庫に撤去した。分離機のほとんどは基本的な設計のものだが、再設置には大して時間がかからない可能性がある。これも深刻な合意違反になる。
イランの核兵器開発で最も不確かなのがこの点だ。国際原子力機関(IAEA)によると、イランは2003年以前、核兵器開発に幅広く取り組んでおり、それ以降も一部の作業を続けている。しかし、核兵器製造のカギとなる部分については完全にものにしていないと考えられている。核の専門家でさえも、2015年の合意でイランが実際に兵器を生産するのに最低1年はかかると想定していることを疑問視している。一方、1年以上かかるとの意見もある。
イランは核合意前、重水炉を建設しており、それによって1年間で兵器2基を生産可能なプルトニウムを製造できるとされていた。しかし、イランは炉心を撤去し、炉をコンクリートで固めることに合意。以来、建設再開をちらつかせているが、炉の完成には最低2~3年はかかると専門家はみている。



