ただあまりにも総花的に新規事業を並べている感は否定できない。「有機ELにしても競争が激しく、カネのなる木になるかまだわからない。新規成長事業についてはそれぞれの事業性を見極めて選別するタイミングがきているかもしれない」(三吉執行役員)と漏らす。経営資源は限られているだけに、どこまで集中して新規成長事業に投資するかが重要だ。
技術力と人脈で
ベトナム製油所獲得
一方で本業の石油事業のなかでも成長分野は存在している。
「日本国内の石油需要は減少していくが、世界で見ればまだ需要は成長期にある。ベトナムは人口も増加しており経済成長著しい国で有望だ」(前田泰則取締役)
出光興産のベトナム製油所計画は現在、事業化調査中で、来年の6月には最終判断を下す。日本の石油元売りが海外に製油所を建設するのは初めてだ。
総投資額は約6000億円。同社の出資比率は35%と高く、リスクは大きいが、高度成長期にあるベトナムでの製油所計画に成功すれば、まだまだ石油事業でも成長が見込める。
同社はかねてベトナムの2鉱区で石油探鉱・開発活動を実施しており、ベトナムに人脈がある。またマレーシアのペトロナスが製油所を建設する際には同社が支援した経験も持っており、「通常、こうしたプロジェクトでは国際経験の豊かなオイルメジャーしか選ばれないが、地道に経験を重ねてきたことと、技術力が評価された」(同)と喜ぶ。
順調にいけば13年に完成し、需要がさらに伸びれば拡張も視野に入ってくるというだけに、力がこもる。
資源事業については、原油価格の高騰から、いまや稼ぎ頭になっている。ノルウェーで石油を生産しており、ベトナム、英国では生産に向けた探鉱・開発を進める。石炭についてはオーストラリアで開発・生産しており、カナダにおいてはウラン開発にも投資。
バラエティに富んだ品揃えがリスクヘッジになっている。中期計画では約1500億円を投資する計画で、比較的大きな投資を心がけるとしており、期待が持てそうだ。
今回の中期計画発表時には数値目標は設定しなかったが現在、数値目標も含めたより具体的な3ヵ年の中期計画をまとめようと検討中だ。「さらに構造改革へと踏み込んだ計画にするよう社長からの指示が飛んできている」(三吉執行役員)と力を入れており、来年にも発表にこぎ着ける。
それまでに現在は総花的ともいえる計画をどこまで具体化させて、絞り込むことができるか。それが出光興産の持続的成長を決定するといっても過言ではないだろう
*企業特集「出光興産」(下)は、中野和久社長インタビューです。公開は8月19日(水)の予定です。




