マクドナルドの凋落が止まらない。中国産鶏肉問題、異物混入事件と相次ぐ不祥事で、売上高は過去にないほど落ち込む。今こそ、良質なサービスで信頼を取り戻すときだが、現場は人手不足で大混乱。サービス劣化という悪循環に陥っている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 須賀彩子)
Photo by Ryosuke Shimizu
昨年12月8日、千葉市の幕張メッセでは、日本マクドナルドのタウンホールミーティングが開かれていた。
これは半年に1回、店長などの幹部社員やフランチャイズオーナーを前に経営方針が示される重要な会議。この日は、北日本エリアの3000人が一堂に会していた。
その席上、サラ・L・カサノバ社長はこうぶち上げた。
「チキン問題のことは、忘れましょう!」
昨年7月に中国産鶏肉の消費期限切れ問題が発覚して以降、マクドナルドは危機にひんしており、カサノバ社長の言動に注目が集まっていただけに会場内はざわついた。「外国人ならではのポジティブシンキングなのかもしれないが、チキン問題以降、店は対応に追われて大変です。教訓にしなければいけないのに、『忘れましょう』にはあきれました」と、出席した女性社員は憤りを隠さない。
この女性社員が語るように、今、マクドナルドの店舗は大混乱に見舞われている。その最たるものが人手不足と、それに伴うオペレーションの混乱とサービスの低下だ。
マクドナルドは原則、店ごとの独立採算制で、毎月の経費は前年と直近4週間の売り上げを基に決められる。
ところが、中国産鶏肉問題が発覚した7月以降、既存店売上高は前年同月を12~39%下回る状態。そのため経費が削減され、9月以降、人繰りが苦しいのだ。