有利な第2日程に気付かない理由

後藤 第2日程は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う学業の遅れを在学する学校長に認められた者を対象に設定されていますが、出願者はわずか718人です。

安田 そうです、99%以上が第1日程を選びました。

後藤 もし、第1日程と第2日程の希望者が半々だったらどうなるか。全く違う試験になる。こうなると厳密に判定できない。

安田 できないけれども、第2日程の方が難しいと、大学側は考慮するかもしれません。

後藤 共通テストはセンター試験と比べて確実に難しくなります。未出願者を考慮しないで平均点を60点に設定すると先日のシンポジウムで言っていました。傾向が全く違う問題が出てくると、ど肝を抜かれます。解答の形態も変わるでしょう。どのようなものなのか分かっているのといないのとでは、試験を受けるときの心持ちが変わってきます。

安田 後藤さんは第2日程を受ける方が有利という派?

後藤 難関国立大学を受けるようなトップ層以外は、第1日程の出題傾向をつかんだ後、1月の終わりまで共通テスト対策の勉強をして、第2日程を受ける。私立大学の一般入試などは受けずに、共通テスト型に出願する。そうすれば、2月以降は何もしなくてよくなる。

安田 本当にその通りですよね。共通テスト利用型の入試は人気になりそうです。それはコロナのせいでもあるのではないですか。大学に受験しに行くと感染リスクは高まりますから。それなのに、第2日程で受けるのはわずか718人しかいない。

後藤 それは前回も申し上げたように、高校の進路指導が素人化しているからです。

安田 でも、先生方の気持ちを考えると、おそらく怖いのだろうなと思う。共通テストにすべてをかけて失敗したらどうするのか。この子は浪人か、という気持ちになる。それならば一般選抜でも受けられるような学力指導をしたいというのは絶対ありますよね。

後藤 そのリスクはインフルエンザに罹患したのと同じように起きるということですね。いずれにしても受験生が最良の状態で受験できることを祈っております。受験生の皆さんは最善を尽くしてください。ご武運をお祈りいたします。