半世紀ぶりの早稲田大学10万人割れ

後藤 志願者数ランキングの3位から8位までは、2020年度には10万人超の大学でした。3位明治大学は9万9470人(同▲3565人)、4位日本大学は9万7948人(同▲1万5954人)とこちらは大きく減らしています。驚いたのは5位の早稲田大学で、9万1659人(▲1万2917人)とだいぶ減っています。

安田 早稲田が10万人を割るのは、調べてみたら1972年以来49年ぶりですよ。

後藤 10万人を維持するためセンター試験利用型を導入してきましたが、とうとう力尽きた感じですね。看板の政経学部の志願者が、織り込み済みとはいえ減ったし、これまでも入試改革で“量より質”だと。質を問わないと慶應義塾に負け続けますから。一般選抜の募集定員が慶應義塾の1.4倍ある早稲田。慶應と上から順番にとっていけば早稲田は当然下も取らなくてはなりません。

安田 当然そうですね。とはいえ、慶應義塾も志願者が減っています。平成・令和合わせて最少になりました。これまた1960年代以来の事態となります。

後藤 2021年度入試では、早稲田の政経学部の一般選抜での募集は共通テスト利用型を含めても350人です。2020年度は525人です。入学定員は900人だから一般選抜での募集定員が4割を切った。それに合わせて一般選抜の合格者数も減らす。そうなると、一般選抜でつけている偏差値は当然上がり、超入りにくくなります。

安田 早稲田にどうしても入りたいという受験生は、政経、法、商、社会科学といった社会科学系の学部は全部併願していましたから、受験生が1人いなくなると、志願者数は4つ減ったりするんですよ。今年度は昨年度同様の超安全志向から、こうした「どうしても早稲田」という高校生は学校推薦型で入学を決めています。たくさん学内併願をする受験生は大きく減っているでしょう。

後藤 近畿大、千葉工大とは逆に出たわけですね、学内併願の多さが。さらに一般選抜では、受験科目の上でもはや政経と法などとの併願はしにくいですしね。大学としても、ホンネでは受験生の数を減らしたいというのはあると思いますよ。記述式の入試などやり始めたら、そんな短期間で採点は無理でしょうし。これまで死守してきた志願者数10万人を切るには、いいタイミングだったのかもしれません。そのくらいポジティブに捉えたいところですね。そして、確実に入学者の質は良くなっているでしょうから。