リスクは穀物価格の下落だが過度の心配は無用か
ガビロン社の買収により、2014年3月期には純利益で200億円程度の増益が期待されています。
買収に絡んだ金利負担などはあるものの、既にアメリカ農薬・肥料大手のヘレナケミカルを傘下に収めており、同社との相乗効果も増益に貢献してくれるようです。
このとこから、丸紅の2014年3月期純利益の市場予想値は約2200億円強と、4期連続増益が見込まれています。

予想PERは約4.5倍。総合商社平均PER5倍より低いので割安感があります。また配当性向も高める方針を固めていることから、株価はゆるく長い上昇が見込めそうです。600円台後半も視野に入ってくるでしょう。
一方で、リスクもあります。それは穀物価格が大幅に下落することです。しかし新興国などの人口増やバイオエタノール需要を考えると、需要が急激に下がるとは考えにくいでしょう。
その他のリスクでは、ガビロン買収などで有利子負債が膨らみ、ネットD/Eレシオ(有利子負債から現預金を差し引いた純有利子負債を自己資本で割った値で財務健全性を測る値。数値が低い方が財務が健全)が2012年6月末時点で2倍を超えており、総合商社の中では財務健全性にやや難があります。
将来的に市場金利が上昇すると借入金利が上昇し、財務の健全性が損なわれる恐れがありますが、日銀の金融緩和姿勢などを見ていると、急激な金利上昇も考えにくいところです。
最近3年間の丸紅の株価を見ると、昨年10月にタイの洪水などを嫌気し、400円台を割り込んだ場面があったものの、基本はPBR1倍割れ近辺の400円台前半で買いが入り、レンジ内の動きが続いています。今後も大きな変動リスクのない、ゆったりとした上昇が見込めると考えています。
本稿の執筆者:研究員№5
<投資の魅力をサクッとわかりやすく伝える吉祥寺の女子アナ(リスト)!>さい ますみさん

さい ますみ 1983年1月17日生まれ。神戸大学経済学部卒業、専攻は計量経済学。在学中から株式投資を始め起業したが、プロの世界で揉まれたいとの思いから2008年に大和証券SMBC金融証券研修所(現:大和証券)に株式アナリストとして入社。入社1年未満(当時最年少女性アナリスト)でNHKなど主要メディアでの株式解説者に抜擢される。債券トレーダーも経験した後に29歳で独立。現在は吉祥寺を拠点にして、個人投資家向けに執筆や講演・セミナー、各種メディアへの出演など多忙な日々を送る。先物オプション・株・マクロ経済分析に特に強い。 ウォールストリートジャーナル、フィナンシャルタイムズ、ロイター通信、ブルームバーグなど海外メディアにも出演、寄稿している。



