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ウクライナ情勢の緊迫化に伴って日米の株式市場は下落。
関連ニュースで相場が乱高下する「ヘッドライン相場」に
ウクライナ情勢の緊迫化による地政学リスクの高まりを受け、日米の株式市場は調整を続けています。
ロシアは2月18日、プーチン大統領が指揮する軍事演習を19日に実施すると発表しました。また、ロシアがウクライナに侵攻しないことを条件に、ブリンケン米国務長官が24日にもロシアのラブロフ外相と会談する見通しとも伝わりました。その他にもウクライナ情勢に関してさまざまな情報が錯綜し、ウクライナ問題の不透明感が強まりました。
こうした状況を受けて2月18日のNYダウは3日続落し、前日比232.85ドル安の3万4079.18ドルでした。また、ナスダック総合株価指数も3日続落し、同168.653ポイント安の1万3548.066ポイントでした。この日は、ナスダック総合株価指数が50日移動平均と200日移動平均との「デッドクロス」を形成したことが話題になりました。両線の「デッドクロス」は、2020年4月以来、1年10カ月ぶりのことです。
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この流れを受けた、週明け2月21日の日経平均株価は、前週末比211.20円安の2万6910.87円でした。一時は2万6549.00円まで下落する場面もありましたが、フランス大統領府が日本時間の21日午前、「米国のバイデン大統領とロシアのプーチン大統領は、首脳会議を原則的に受け入れた」と伝えると、一気に買い戻しが入って下げ幅を縮小させました。
しかし、その後のプーチン大統領のテレビ演説の内容などにより再びウクライナ情勢の緊迫感が高まって、翌2月22日の日経平均株価は大幅に下落し、前日比461.26円(1.71%)安の2万6449.61円となりました。
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このように、ここ最近はウクライナ絡みのニュースヘッドラインで相場が乱高下する「ヘッドライン相場」の様相が強まっています。
ウクライナ情勢が緊迫化し、欧米とロシアの対立が激しくなるものの
「キエフ侵攻は発生せず、外交的な決着で幕を閉じる」がメインシナリオ
ウクライナ問題に関しては、ロシアによる侵攻がなければ2月24日に欧州で開催される米露外相会談で協議される見通しで、そこで、その後に開催予定の米露首脳会談の内容について準備が行われるとされていました。
しかし、ロシア大統領府は2月21日、米露首脳会談について「具体的な計画はない」と表明しました。また、プーチン大統領はテレビ演説で21日、ウクライナ東部で親ロシア派が実効支配する「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の2地域の「独立」を承認すると表明。さらに、プーチン大統領は21日、親ロシア派武装勢力が実効支配するウクライナ東部の一部地域について、ロシア軍を派遣する方針を決めました。
これを受けてバイデン米政権は2月21日、ロシアが独立を承認した地域との新規投資や貿易に米国人が関与することを禁止。また、欧州連合(EU)も21日、制裁措置を取ると表明しました。このため、欧米とロシアの対立が一段と高まる見通しです。
ただし、現時点では、ロシアはウクライナの首都キエフを侵攻したわけではなく、親ロシア派が実効支配しているウクライナ領の一部地域の独立を承認するに留まっています。また、ロシア側は「ウクライナ侵攻の計画はない」と繰り返し否定し、西側の主張はプロパガンダであり「ヒステリー」だと退けています。一方、ホワイトハウスのサキ報道官も、「われわれは常に外交の準備ができている」と説明しています。
このため「ロシアによるキエフ侵攻は発生せず、外交的な決着で幕を閉じる」というのが今後のメインシナリオです。
ニュースの「ヘッドライン」で市場が右往左往している間は、
多くの投資家がリスクを取らず「上りづらく下がりやすい相場」が継続
とはいえ、今後も活発な外交的・政治的駆け引きが続く見込みです。市場では、米欧露の要人発言などに反応する格好で投機筋による“売り仕掛け”や“買い仕掛け”が活発に行われるため、ニュースの「ヘッドライン」で市場が右往左往することでしょう。
この状況は、ある程度ウクライナ情勢の先行きが見通せるようになるまで続く見通しです。なぜならば、問題が完全に解決されるまでは、稀にしか起こらないはずの事象が発生し、その結果、想定外の暴騰・暴落が発生する「テールリスク」が存在し続けるからです。
その一方で、ロシアによるキエフ侵攻がなかなか実現しない(事態が膠着する)ようなら、時間の経過とともに「ウクライナ情勢に関するニュース」の相場へのインパクトは低下していく見通しです。
取り敢えず現段階では、欧米とロシアとの外交的な駆け引きの行方が最大の相場材料であり、ウクライナ情勢は市場にとって最もホットな刺激材料であり続けるはずです。
また、現在のような「ヘッドライン相場」では、多くの投資家はリスクオンとはならず、リスクオフで様子を見ている可能性が高いです。このため、買い需要よりも売り需要の方が勝りやすく、「上りづらく下がりやすい相場」が継続することでしょう。
マザーズ市場に代表される新興市場は、
今後数年にわたって物色圏外に放置される可能性も
2月22日の日経平均株価は、前日比461.26円(1.71%)安の2万6449.61円で、5日移動平均線(22日時点で2万7035.16円)、25日移動平均線(同2万7234.55円)、75日移動平均線(同2万8313.03円)、200日移動平均線(同2万8515.77円)をすべて下回っています。また、5日・25日・75日・200日移動平均線が下から順に並ぶ「下降のパーフェクトオーダー」を実現しています。
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したがって、日経平均株価が5日移動平均線と25日移動平均線を上抜き、かつ25日移動平均線が上向きに転じてこないと、自律反発への期待が盛り上がることはないとの見方は不変です。当面は、25日移動平均線が強力なレジスタンス(上値抵抗線)として意識されるとの見方も継続しています。
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なお、2月第2週(7日~10日)の投資部門別株式売買動向では、年金基金の売買動向を反映するとされる信託銀行は3週連続で買い越し、買い越し額は1324億円でした。当面の東京株式市場で期待できる買い方は、この信託銀行経由の年金基金だけだと見ています。
また、東証マザーズ指数は悲惨な状況です。2月22日の東証マザーズ指数の終値は前日比7.91ポイント(1.15%)安の681.08ポイントと、連日で昨年来安値を更新し、2020年4月以来の安値水準に沈みました。
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上場銘柄の時価総額は、大引け時点で6兆円台を維持したものの、2021年11月には10兆円を上回っていました。つまり、わずか3カ月で4兆円近くが消失したことになります。
このような悲惨な状況なのに、2月第2週(7~10日)の新興企業向け株式市場で、個人投資家は7週連続で買い越し、買い越しは140億円(マザーズ68億円・ジャスダック72億円)でした。一方、海外投資家は2週連続で売り越し、売り越し額は203億円(マザーズ122億円・ジャスダック81億円)でした。海外勢の売りを個人が買い向かう構図が継続しています。
また、2月18日のマザーズ銘柄の信用買い評価損益率(松井証券店内)は、マイナス36.567%とのことです。新興マニアの多くの個人が、相場が下がっても下がっても「ナンピン買い」や「新規の押し目買い」を行っているにもかかわらず、相場は一向に下げ止まらず、信用の買い方が膨らむ評価損に必死に耐えている様子が窺えます。
当面の東証マザーズ指数に関しては、日経平均株価やTOPIXなどと違い、年金買いが期待しにくいので、底割れ状態が続くリスクは大きいと考えています。個別銘柄は別として、マザーズ市場に代表される新興市場は、下手したら今後数年にわたって物色圏外に放置される可能性は否定できないと現時点では見ています。
今の相場で旬な投資対象は「グロース株」ではなく「バリュー株」です。インフレ・金利上昇がメリットになる企業群や、アフターコロナでメリットを享受する企業群が今後の相場の主役になるはずです。あなたのポートフォリオを、そうした生きのいい銘柄群で固めていくことをおすすめします。
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