AIを活用した業務の自動化が金融業でも広がり始めた。三井住友信託銀行では2017年に初めてUiPath(ユーアイパス)の製品を導入し、業務工数を劇的に削減したほか、業務プロセス標準化やリスク管理においても成果を上げた。さらに、AIを搭載する「UiPath Communications Mining (以下Communications Mining)」を使い、メール仕分け業務の自動化にも取り組んでいる。実際、「AI×自動化」プラットフォームはどのような価値をもたらしているのか。同行で業務の自動化を推進する経営企画部デジタル企画部審議役兼デジタルオペレーションチームチーム長の藤原裕三氏と、その支援にあたってきたUiPathソリューション本部エバンジェリストのテランドロ・トマ氏に聞いた。

“少量多品種”業務をExcelツールで部分最適した結果、大量の“野良ツール”が発生

――三井住友信託銀行では、業務の自動化を進めるためにUiPathの製品を2017年に導入しています。当時抱えていた課題と導入後の効果について教えてください。

藤原 通常の銀行業務以外にも、お客さまの財産・資産を預かり、運用管理などを行っている信託銀行では、各部署で多種多様な業務が発生しています。こうした「少量多品種」業務を効率化するため、従来は部署ごとに業務を効率化する「Excelツール」が数多く開発され、使われてきました。しかし、開発した人が異動したり退職したりするとメンテナンスができなくなってしまう。そうした“飼い主(管理者)”がいない“野良ツール”があちこちに生まれてしまい、その対策に迫られていました。

 次ページからは、三井住友信託銀行がUiPathのソリューションを導入していかに“野良ツール”の発生を抑えたのか、その結果実現した驚くべき業務改善の成果を具体的に紹介する。