1977年、シベリアに住むジャルコフ家の9歳になる少年が、永久凍土から突き出たマンモスの牙を見つけた。それ自体は珍しくないが、この牙には肉片らしいものが付いていた、との報告に、科学者が反応した。2年後、フランスの極地研究者らが発掘し、ほぼ全身が冷凍保存されているのが判明。3,200km離れたハタンガの町まで空輸され、ヘアドライヤーで解凍された。その後の調査でこの個体は2万380年前のものとわかったが、このような数万年前からのコールドミートが関係者に食べられた例があるのだ。
マンモスは竜ではない、というかもしれないが、そうでもない。
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| 「竜骨」全身 |
竜を原料とする漢薬があり、竜骨・竜角・竜歯等という。その実体につき、平賀源内は1763年に「竜歯、小豆島産其の形、象歯に似たり」と言及している。その後1811年に小原春造が「竜骨一家伝」を書し、竜骨は象の化石であるとした。しかし、竜骨はマンモスを含む古代象に限らず、さまざまな化石を総称している。本物の恐竜の化石が竜骨となって薬として服用されるケースもあるのだ。
いずれにせよ、化石となった絶滅巨大生物の骨を見て、かつて巨大な動物「竜」がいたと信じたものであろう。
ドラゴンを食う
竜は英語でdragonだが、実在する動物ではオーストラリア産のアガマ科のトカゲにdragonの名が用いられる。アガマ科は日本にはキノボリトカゲのみがおり、樹上棲と思われやすいが、アフリカとオーストラリアを中心に地上棲の一群がいる。このことも古い時代のオーストラリアとアフリカの地質的な結びつきの証左とされるが、ともあれ、オーストラリアのアガマ科の一群は和名でもドラゴンと呼ばれる(フタスジドラゴンなど)。
このドラゴンはアボリジニの食料となる。アボリジニはオーストラリアの先住民で、自然物の巧みな利用について教えられることが多い。筆者は植物について教わるとかなり驚くのだが、ドラゴンを食用にするのは、さもありなんと思った。とりわけ、大型で目立ち、普通種であるエリマキトカゲやアゴヒゲトカゲの利用に関しては(これらの種は日本でもよく知られているために、ドラゴン類でありながら○○トカゲの名を持つ)。
最大のドラゴン
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| コモドオオトカゲ |
コモドオオトカゲは正式には英名でKomodo monitorだが、Komodo dragonという別称がある(アガマ科ではないトカゲにdragonを用いるのは妥当ではないが、英名の使用基準はルーズだからまあいいか)。全長3m、体重80kgになる世界最大のトカゲにはdragon(竜)の使用も大きな違和感がないが、いずれにせよ、こういうドラゴンが恐竜にあらざるは、ヘビが恐竜にあらざるが如し。英語でいえば“A dragon is no more a dinosaur than a snake is.”である。入試英語の勉強もしてしまう。





