あだしごとはさておき(どこが本筋かわからない文章であるにせよ)、このコモドオオトカゲは食べられない。

 同じ地域に住むインドネシア人たちが、「オラ」(ヒト)と呼び、同胞とみなしているかららしい(共通インドネシア語では「コモド」と呼ばれる)。コモドのほうは逆に、まれに人間を食うとされる。シカぐらいの大型獣は平然と食う。病気などで弱って動きが異常な個体を襲うので、「オラの眼前で転ぶと危険」と地元のレンジャーに注意された。コモドの通常の食性にヒトは入っていないが、咬まれて怪我をする人はいるし、死体は、機会があれば食べられてしまうだろう。

 あるいは、コモドが食べられないのは、同属でかなり近いサイズになるミズオオトカゲを食べないある民族が、その根拠を「人肉食」としているのと同様なのかもしれない。

味はムロアジ

 コモドと同属のオオトカゲはアフリカ、オーストラリア、アジアに分布し、どの地域でも食用にされる。アボリジニの一団としばらく野外生活をともにしたことがあるが、そのときのブッシュミート(野生の肉)として、オーストラリア最大のトカゲであるペレンティオオトカゲも食べた。オーストラリアでは原生動植物は厳しく保護されており、白人(およびわれわれのような外国人)が野生動物を採ったりしたら犯罪だが、アボリジニは本来の権利としてそれができる。当然だ。私と加藤晴彦君はアボリジニたちのご相伴にあずかったわけだが、たき火で焼いただけのオオトカゲの肉はムロアジを想起させた(晴彦君は泣きそうに飲み込んだが)。

 このときのペレンティオオトカゲは、後肢に大きな腫瘍ができていた。だからこそ捕まえることができたと思う。健康なオオトカゲは動きが速過ぎる。またこのような病気の個体の除去されるのは生態系へも悪影響がなかろう。この腫瘍はアボリジニが食べる時に取り除いたが、経験で病気を避けたのだろうか、あるいは単に気持ち悪かったのだろうか。

 アフリカのカメルーンでは、ナイルオオトカゲを開きにし、棒で凧のようにしてから燻製にしたものが売られていた。こうした肉とトウガラシを入れて煮込んだスープが普通の食事であった。肉として最も普通だったのは魚肉であったが。

 フィリピンでミズオオトカゲなどのオオトカゲを捕まえるワナを見た。通りかかったトカゲがループに足を入れると、ストッパーが外れ、吊り上げられるというトラップだ。地元民は小枝やツル植物を使ってアッという間に作ってしまう。自然物ばかりなので製作費はタダだし、仕掛けてあってもほとんどわからない。偶然そこに来るのを待つだけだが、数多くかけられるから効率は気にしないようだ。捕まえたオオトカゲはアドボといった料理にされる。

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