利上げ時期の後退予測は
実体経済のニュースとも一致している
このような利上げ時期の後退は、直近の米国経済に関する指標が予想より弱かったこととも一致しています。
実際、7月3日に発表された非農業部門雇用者数は市場予想の23.3万人を下回る22.3万人でした。

また6月の平均時給の伸び率は0%でした。

国際通貨基金(IMF)は先日、2015年の世界のGDP予想を-0.2パーセンテージ・ポイント引き下げ、3.3%としました。このことからも目先のリスクはダウンサイドであり、景気加速ではないことがわかります。
FRBが利上げに踏み切ると、
中国は苦しい立場に追いやられる
さて、中国人民銀行はこのところの中国本土株式市場の下げを見て、利下げしています。1年物貸出基準金利は5月の0.25%利下げに加え、6月も0.25%利下げされ、4.85%になっています。

つまり中国における政策金利の引き下げのペースは加速しているのです。
いま中国人民元はゆるく米ドルにリンクしています。そのことは中国の金利政策が、米国の金利政策と歩調を合わせる必要があることを示唆しています。
もちろんこれは完全に一致させる必要は無いのですが、両国の金利政策の違いが大きくなればなるほど為替レートを一定の範囲内に固定するための労力は大きくなってしまいます。
逆の言い方をすれば、そのような二つの国が全く逆方向の金利のベクトルを打ち出せば、金融システムに大きな負荷がかかるわけです。
過去の市場急落局面を振り返ると、各国中央銀行の政策協調が失われていると投資家が感じたときにパニック売りが出たケースが散見されます。
その意味でも今、FRBが利上げに踏み切ると、たちまち中国を苦しい立場に追いやることになります。なぜなら去年以降のドル高で、中国の輸出競争力は大幅に減退したからです。
もしFRBが利上げしたら、中国は人民元をドルに対して大幅に切り下げるなどの措置を出してくる可能性があります。これは過去に何度もやっています。下のグラフで垂直にレートが上がっている箇所が4回ありますが、それらはいずれも大幅な人民元の切り下げを示しています。

今回、このような調整が行われるかどうかはわかりませんが、そうなれば輸出市場において中国と競争している韓国は打撃を受けると思うし、日本企業が中国で行った投資も価値が目減りすることを意味します。
FFレートの利上げ先延ばしは
ドル安円高、日本株の下げ要因になる
そのように考えてくると、いま最も金利政策の面で幅広い選択肢を享受しているのはFRBであり、中国に配慮して利上げ時期を少し遅らせるということが深慮あるやり方のように思います。
イエレン議長としては、折角、これまで着々と利上げ開始に向けての準備を進めてきたところなので不本意かも知れません。でも今は海外要因に配慮すべき局面なのです。
さて、フェデラルファンズ・レートの利上げが先延ばしになるのであれば、それはドル安要因です。円高になれば、当然、日本株は下がります。
中国株式市場の急落は、中国経済の減速が世界経済にもたらすリスクを投資家に再認識させたと思います。私はアルマゲドン論者ではありませんが、世界第2位の経済がここへきてグッと減速しているということは軽視すべきではないと思っています。



